知と情

人間は、「知」と「情」で成り立っておる、情は結びの力ですから、これは「陰」です。

知と情とがうまく調和しておるというのが所謂「(ちゅう)」でありますが、どちらかと

言うと、陰である情の力のこもって厚いのが根本であります。

知の方は「陽」であり、派生ですから、樹木で言えば、枝であり、葉であり、花であります。

だから人間は、内に情が厚く、そして頭が良いと言うのが一番望ましい。

知が情に勝つと、余程気をつけませんと、軽薄になり利己的になります。

                       安岡正篤先生