安岡先生の言葉  平成24年7月

      因果律

人間には奇跡というものはありません。奇跡などというものは研究不足、勉強不足の者の言葉でありまして、原因・結果というものは常にはっきりしておるのです。悪いことをしますと、いつかは悪い結果が現れ、善いことをすれば善い結果が表れる、というのは厳粛な自然の法則であります。

従って人間は因果律というものを大事にしなければなりません。私達がつくづく思いますことは、日本はどうなるかということについて日本の国民が非常な不安と懐疑に陥っていることです。戦後日本は所得倍増をかけごえに、ぐんぐん仕事をして伸びてゆきました。

すると今度は、GNPが世界第二位になった。つまり国民総生産の勘定が得意になり、いつの間にか生活の享楽、レジャー、バカンスという方面にいってしまつて、国をあげて功利主義、享楽主義、金儲け主義に徹しました。その為に後進国の人々までが我が国の悪口を言うようになって、エコノミック・アニマル、エロチック・アニマルという語が日本人の代名詞となって流行しました。

これは世界の文明史、民族史から申しても、まことに恥ずべきことでありまして、この因はやがていかなる果を生むか、ということはもう言うまでもないことであります。不落因果・不昧因果というこの禅の公案は、現代の人間に通ずる、また社会にも、事業にも通ずる大原則・大教訓であります。


大竜巻のこと   徳永圀典
      
進路が分らないのは人間の無知。地球の生理に沿って進んでいるだけである。大宇宙、大自然、大地球には「恣意」というものは無い。