松下幸之助研究 家訓シリーズU
住友家家訓と、松下幸之助

 未体験ゾーンへ、のソアラがデビューした1981年春。18才と2ヶ月の僕は伊豆の田舎から上京しました。新車のソアラ2800GTを親に買ってもらう 金持ちの子がこの世にうじょうじょいる事や、摩天楼が不夜城のように輝いている様に、心が躍りました。
 新宿副都心には、昨日紹介した三井のビルと、隣に住友のビルがありました。僕は、黒っぽい未来的な三井より 三角で白の住友にセンスを感じました。夕闇の副都心にソアラは似合いました。

 財閥の家訓とは、かくも違うとは!と感じます。心得帖は少なくとも10回は読んでいるはず、、、、次回取り上げる岩崎家のそれは最近のNHK大河ドラマで有名ですが、住友もすばらしいです。

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住友家 家訓

一、主務の権限を越え、専断の所為あるべからず。

二、職務に由り自己の利を図るべからず。

三、一時の機に投じ、目前の利にはしり、危険の行為あるべからず。

四、職務上に係り許可を受けずして、他より金銭物品を受領し又は私借すべからず。

五、職務上過誤、失策、怠慢、疎漏なきを要す。

六、名誉を害し、信用を傷つくるの挙動あるべからず。

七、私事に関する金銭の取引他証書類には、各店、各部の名柄(みょうへい:名前による権力)を用うべからず。

八、廉恥を重んじ、貪汚(たんお:むさぼるよごす)の所為あるべからず。

九、自他共同して他人の毀誉褒貶(きよほうへん:そしったりほめたりする)に関し私議すべからず。

十、機密の事を漏洩すべからず。

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 昭和8年、松下は新規に小型モーター製作をする事になりました。そして、昭和13年 新たに松下電動機を創業します。その時、資本の半分を出資したのが住友銀行でした。

 プレジデント誌の回顧録では、幸之助はインタビューに応え、

「住友さんは高ぶりませんな、当時の松下なんて住友さんから見たら小さな会社ですよ。僕から声かけた。田中さんという常務理事が出てきた。   僕(幸之助)は、その時非常に感銘した。総理事の決裁がまもなくおりますから、と激励してくれた。   それだけの地位にある人でも、自分たちだけでは決められないという慎重さがよく出ているわけですね。えらい違いや、思いましたね。」と述べています。

 創業一代目の会社と、すでに伝統ある会社を同列に論ずるつもりはありませんが、住友家 家訓 一、の実践証拠です。