日本の風土に思う

日本列島は垂直に南北3千キロの長い国である。東京から北の宗谷岬まで約1千キロ、南の九州大隅半島南端・佐多岬まで1千キロ。そこから琉球南端八重山列島まで1千キロ。中緯度の温帯、南は亜熱帯気候、北は亜寒帯気候の生態、光や水、緑と土のほどよい幾つもの気候を帯びている。だから植物、鳥類、動物の種類も多い。従って国民の食べる野菜、果物も種類豊富、実に豊かな変化に富む国土で成り立つ。四季が明瞭、国民生活に適度の刺激と緊張を与える気候である。単一気候の国は一斉に全国が大飢饉を被る、歴史的最強国となっても次の瞬間には世界史から消えてしまった国もあり、単一気候の怖さを感じる。暑い単一気候国は年中暑く季節の折り目が日本のように無い、四季の変化もなく生活は安易だが単調、長く住むには耐えられまい。日本の四季の変化は、適度の寒さ、暑さ、梅雨の鬱陶しさと人間の精神を緊張させたり、爛漫にさせたり、実に適切なように思える。

我々の先祖はこの国の南北を接近させ、平等化させ、誰でも首都に上りたいという夢を民族2千年来の悲願としてきた結果が今や、鹿児島から北海道まで2千キロまで伸びた世界最新鋭の新幹線であろう。

こうして2千年の間に日本は植林の思想を育てて森林は豊か、几帳面な性格と努力と民度の高さから、どこを旅しても隅々まで、清楚、簡素に美しく整備され、田園も家並みも、桜並木も、日本人らしくよそおわれて本当に素晴らしい国土になっている。欧州の中世からの石の家のように固くなく、日本の街並みは優しく人間的、それでもまだ人々は日々進化させ続けて行く素晴らしく美しい風土である。この国に生まれた事を心から感謝する。