儒教とはー徳永圀典解説
儒教が悪いという、では改めて儒教とは何か。
我々が学んだ孔子、シナ春秋時代の魯の国生まれた。
孔子は世の乱れを嘆き「徳の政治」を説いた。
孔子の考えは、戦国時代に孟子に受け継がれーー性善説ですね、荀子の性悪説などの後継者を生みました。
これらが儒教という体系に発展し、漢の武帝の時、絶対君主の支配体制に都合が良く、国教として中国では近代までそれが受け継がれています。
中国古代の封建君主が儒教を採用したのは、こうだと思うのです。孔子の
1. 君、君たり。臣、臣たり。父、父たり。子、子たり。
と言う階層秩序を重んじる言葉を利用するのがとても都合が良かったからでしょう。
孔子は政治的に成功しなかった、孔子は理想論で具体的な実践論は無いという方―故渡部昇一先生もおられる。
2. 儒教では、「忠」と「孝」が一番の徳とされています。
臣下たるものは、何が何でも君主に忠誠を、親子の間では
親の言うことは「間違っていても従う」のが孝行だと教え
ています。
――日本では江戸時代には朱子学、陽明学の儒教が基本とされて徳川政治に利用されている。
3. 儒教は宗教ではありませんが、孔子の教えを「絶対善」だとしておりまして一切の批判を受け付けなかった。
―――これはキリスト教がキリストの、イスラム教はマホメッドの教えを絶対視するのと同じ意味では儒教も宗教です。
4. このような儒教を国の運営の中心思想に据えることは、国家の停滞を惹起してしまいます。それは変化の多い国際社会に対応不可能になるからではないでしようか。
5. 孔子の説いた徳の政治、紀元前の小規模国家なら通用するかも知れません。現在のような大規模の国家とか自治体では到底対応不可能でしょう。
6. それと論語でも政治学の書として勘案すると余りにも精神主義が前面に出ておりまして、具体策には到底至りません、現代的はありませんね。
7. 論語のある部分では私も全面的に賛同するものがあります。孔子を否定するものではありませんが、論語にあるからとか孔子が偉い人だから絶対視して、何でも現代に適用可能との錯覚を起こしてはなりますまい。
8. 日本人は、ずっと論語に習熟しております、知らず知らずに儒教的な思考が身についております。それを意識しまして、そぐわない部分に関しては意識して切り捨ててもよいのではないでしょうか。
9. 台湾出身の黄昭堂氏は、韓国や台湾の経済が発展したのは法治国家である日本が儒教を壊してくれたからだとまで申しています。香港やシンガポールも英国が儒教を破壊してくれたから発展したと言います。
10. 時代の変化が速く、理想論よりも行動が求められる現代、儒教的な秩序重視、精神主義よりも具体的な仕組み作りとか実践が必要なことは事実であります。
11. でありますが日本人の「建前主義」も儒教的な部分であります。
平成29年7月1日
鳥取木鶏会 会長 徳永圀典