安岡正篤の言葉  平成297月 徳永圀典選

対人関係

凡流、鈍漢(どんかん)傲吏(ごうり)褊人(へんじん)に接するにも、(また)和厚(わこう)謙譲(けんじょう)、気を下し、言を安らかにす。(きょうだ)なる勿れ。(おんたい)する勿れ。侮言(ぶげん)する勿れ。(たん)(ぜん)として一毫(いちごう)不平(ふへい)の気無し。()の横逆の来るが(ごと)し。()(あぶ)の前を過ぐるが如し。(むく)いず争わず、笑うて(こせつ)かず。

昨今のような乱世になりますと、対人関係が極めて微妙でやっかいであります。そこで、凡流-平凡な仲間、鈍漢-なまくら者、傲吏-おごつた役人、褊人(へんじん)-へんくつ人、こういう人々に接するにも、にこやかにへりくだり、心を落ちつけ、言葉やわらかに、

(おご)り等があってはならない。また、(あなど)ったりののしつたりせず、あっさりとして不平不満らをもつてはならない。自分の考え、あるいは行動の邪魔だてをする者があらわれても、蚊や(あぶ)が飛ぶように少しも気にしない。反発したり、こせこせしない。現代人の心理は、非常に刺激に弱くなって、

落ちつきがありません。

(むく)いず争わず、笑うて(こせつ)かず」でありたいと思います。 

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