安岡正篤先生の言葉 7月例会 徳永圀典選
六中観 忙中閑
私は、年の初めに、いつも六中観というものを反省してみる。
第一は、「忙中閑」である。真の閑は忙中にある。唯の忙は価値がない。文字通り、心を亡うばかりで
ある。忙中閑あって始めて生きる。
苦中楽
第二は、「苦中楽」である。苦を唯、苦しむのは動物的である。いかなる苦にも楽がある。
死中活
第三は、「死中活」である。窮すれば通ずということがある。死地に入って意外に活路が開けるものである。うろたえるからいけない。
壺中天
第四は「壺中天」である。我々は、どんなうるさい現実生活の中にあっても、心がけ一つで随分と別の世界に遊べるものだ。詩歌でも音楽でも、信仰でも、学問でも、何でも壺中天はある。神仙はこの現実にあるのである。
意中人
第五は「意中人」である。病んだ、どの医者にかかるか。事業を興す、誰を重役にするか。それが平生意中になければならない。
腹中書
第六は「腹中書」である。愛読書を持っている。信念・哲学を持っているということである。
醒睡記