7月4日 目出度い海老はなぜ その二

 私の見聞した範囲最も妙と思われるのは名も無い漁夫から教わった説である。それによれば、海老は生きている限り殻を脱して一向に硬化することがない。しかも物みな粛殺を帯びる秋になって殻をぬぐというのである。平たく言えば、いくつになってもよく若返るものであるかめでたいのである。