7月5日 目出度い海老はなぜ その三

 「論語」や「左伝」に出てくるので有名な衛国の賢太夫に遽伯玉という人がある。「行年五十にして四十九年の非を知る」と言われておる。これはよほど心ある人、否、人間誰しも年の五十にもなれば思い当たらざるを得ぬことであるから、広く引用される言葉である。人によれば早くから成長の止まってしまうものも少なくないが、まして五十になると動脈ばかりでない、精神も硬化してしまって反省奮発などできなくなる者が多い。伯玉は五十になってもよく反省し、自己革命のできる人であったらしい。