戦争の悲劇の実体を知らぬ日本人  

皆さんもご承知の通り、ヨーロッパの自由諸国ならば大体ソ連一国だけを考えておればよいわけです。その上、ヨーロッパ諸国は、第一次、第二次世界大戦と

いう大変な活劇、悲劇を重ねて体験致しまして、戦争

とかその実体、即ち破壊、殺傷、苦悩の極致を体験しておるのであります。 

だから見識とか勇気とかというようなことは別問題として、兎に角彼等は苦労してきましたから、心構えが出来ております。 

これに比べて日本は、明治以来戦争はすべて外へ出てやっておりまして、国内で戦ったことはありません。 

今次の大戦で終戦直前になって、あちこち爆撃を受けましたが、これも敵の部隊が直接本土へ来寇したのと違って、その被害にも大きな相違がありましょう。 

      安岡正篤先生の言葉