7月 安岡正篤先生の言葉
唯物主義と経済主義は同根
この二者は理論的に言えば、むしろ対照的といいますか、全然正反対なものと常識的に解釈されるのでありますが、ここに不思議なことは、両方を通じて唯物主義、あるいは経済至上主義ともいうべき点に於いて全く共通であります。
これは洵に妙な現象でありまして、いわゆる資本主義としいう言葉を以て代表せられる思想を持つ者は、人生に於いて、世に処する上において、経済というものを非常に重んずる。
もっと徹底して言うならば、金融的成功、金を儲けるということを最も重んずる。
成徳は
人の徳を成すこと三あり。
一には自然の好天質なり。
二には良師友に仕入らるるなり。
三には学問にて練り上げるなり。
然るに好天質は多く有りがたし。
必ず師友学問の資に因らずんばあるべからず。
人間には生まれつきの好ましい素質が徳となっている者がある。またよい先生につき、よい友達と交わって徳が磨かれる者もある。更に学問によって磨きあげて徳をつくる者もある。
然し、生まれつきその徳が完全であるなどという人はいないので、どうしても人間はよい師・よい友を得て仕込まれるか、学問をして練り上げないと徳は出来ません。