学ぶにつきざるなり その三十一

 81日  新しき 年のうたげに うれしくも   かわらぬ人の つどひけるかな   明治天皇 

82日 何よりも すがすがしきは 起き出てて  朝日に向かふ 心なりけり  植松有経 

83 君ならで 誰にか見せむ 梅の花 色をも 香をも 知る人ぞ知る  紀 友則 

84 小さきは 小さきままに 花咲きぬ 野辺の小草の 安けさを見よ 高田保馬 

85 行く道の 細きを守り つつましく 低きに居りて 心静かなり     長井弥太郎

86 なかなかに 遊ぶいとまは ある人の  いとまなしとて 書読まぬかな   本居宣長 

8月7 たのしみは そぞろ読みゆく 書の中に 我とひとしき 人を見し時     橘 曙覧 

88 古き(ふみ) 読めばくさぐさ 思うなり かからん時に われ生まればや   吉田松陰 

89 欲ふかき 人の心と 降る雪は つもるにつれて 道を失う         高橋泥舟 

810日 気は長く 勤めは堅く 色薄く 食細うして 心広かれ         天海僧正 

811日 世の中に 同じ心の 人もがな 草の庵に 一夜かたらむ        良寛和尚 

812日 白梅の 暮れて星屑 降るばかり           重松白雲子 

813 年ゆくと 満天の星 またたける           蓼汀

814日 (はん)(かい) 王陽明

 (けん)()原不滞(もときょうちゅうに)胸中(とどこおらず) (なんぞ)異浮雲(ことならんやふうに)過大(のおおぞらをす)(ぐるに)

 夜静海涛三(よるしずかなりかいとう)万里(さんまんり) 月明飛(げつめいしゃくを)錫下天風(とばしててんぷうをくだる) 

8月15日 海にうかぶ

 険夷もと胸中に滞らんや 何ぞ異ならんや浮雲の大空を過ぐるに 夜静かなり涛三万里

 月明錫を飛ばして天風を下る          王陽明
816日 冬夜読書

 頗壁(はへき)(ゆき)三尺(さんじゃく) 寒空(かんくう)(つき)一輪(いちりん)

 堅疑(けんぎょう)天地(てんち)(のき) 聚在(あつまって)読書人(どくしょのひとあり) 

817 頗壁(はへき) 雪三尺 寒空 月一輪 堅疑(けんぎょう) 天地の気 聚まって読書の人在り

        山田方谷 備中松山藩参政 

818日 六中観

 死中・活有り。 苦中・楽有り。 忙中・閑有り。 壺中・天有り。 意中・人有り。 腹中・書有り。

             安岡正篤 

819日 八喜偈(はちきげ)

一、天、人を喜び 人、天を喜ぶ。

二、神、吾を喜び、吾、神を喜ぶ。

三、天、神を喜び、神、天を喜ぶ。

四、人、吾を喜び、吾、人を喜ぶ。 

820

 佳いものは何でも佳いが、結局,佳い人と佳い書と佳い山水との三つである。 安岡正篤 

821

 若い時は、地位と権力と財産の三つが佳いものと考えていたが、この三つとは全く無縁に終わりそうだが、これでよかったのだ。 安岡正篤 

822

安岡正篤先生の言葉を沢山披露してきて三十年、安岡正篤先生の著書や言葉は、私にとり「人生の鑑」であり「人生の宝」である。死ぬまで、楽しく、じっくりと噛みしめ味わい玩味してゆきたい。徳永圀典 

実に、三十年間、鳥取木鶏会例会やら本ホームページでご披露した参ったが、ここらで終止符を打ちたいと思います。多年に亘りご閲覧を賜り感謝申し上げる。ありがとうございました。

         平成29822               徳永圀典