西欧原理の断末魔
私は、次ぎのように確信的に思う。
「現在世界に進行中の事態の本質は何か。それは、西欧近代文明の断末魔である。近代日本は明治以来の伝統日本の破壊の上に築かれた西欧原理に基づく巨大な楼閣である。今、その大地は呻吟し、根本的軌道修正が迫られている」と観る。
コロンブスのアメリカ大陸発見以来、今日までの五百年間は、白人等による西欧原理の凄惨な歴史であり、反自然、異民族略奪でなくて何であろう。
彼らは500年間、世界を彼らの都合の良いように差配してきた。
白人の世界覇権は、18世紀以降、ポルトガルからスペイン、英国からアメリカへと移行してきた。そして今、そのアメリカの覇権は断末魔に在ると見る。
この間、日本は白人に侵略されまいと国家挙げて戦い、日露、日清戦争に勝ち抜き世界の列強に仲間入りして不幸中の幸を得て繁栄した。
だが、昭和20年、20世紀最大の人類史的大虐殺「アメリカの原爆投下」炸裂により伝統日本は消滅した。
そして、類い稀な勤勉日本人は、敗戦による復興から、平和と経済成長を得て繁栄を謳歌した。
だが、昨年の東北大震災により「日本の戦後の繁栄は消滅した」のである。
二度とも日本破壊の因子は「原子力」である。
原子力は、核エネルギーであり、反自然のものである。これは西欧原理の発明になるものだ。
西欧原理の、「悪魔性」、「反自然性」を如実に表すものであろう。
西欧原理は、反自然の荒々しい文明であり、その魔手が「核エネルギー」であるが、日本は二度共、この悪魔の原子力により破壊されてしまった。
日本は、西欧原理とは異なる自然文明を築いてきたが、二度も悪魔の西欧文明の手先(原子力)で完全に破壊された。
核は、戦前の日本、そして戦後の日本と、二度も日本を終焉させたのである。
これは、日本人への一大警鐘であり、一大天誅と言えるのではないか。私は哲学として思想として申している。直ちに停止とは現実的には言えない。
だが、原子力発電は、一挙には停止できない。長期的視野で並行的に自然エネルギーへの転換を企図しなくてはなるまい。
私は、ここ十年間、各地での講演で、西欧原理500年の悪魔の歴史を指弾してきたが、よくよく考察を加えれば、ここらで、日本は本当の「自然国家」を目指せという天の声、祖先の声のような思いがつのってきた。
自らの文明、文化に目覚めよ、ということではないかと。
アメリカの先導による、グローバリズムは、悪魔の手先である。グローバリズムは、西欧の中世に行われた「民族の移動」とか、アメリカの「西部進出」と同根の侵略性を示すものであろう。
彼等は、生きる為に飽くまでも悪魔の論理のダブルスタンダードで迫ってくるのは歴史的な彼らの常套手段である。TPPなど論外である。それはアメリカの生き残り戦略であり日本破滅の思想である。
人類は、歴史的な危機に直面していると考える。
日本人は、自己の足下、生存基盤を再認識しなくてはならぬ。
最早や、歴史の浅いアメリカに学ぶものは無い。日本人は自己求心力を高めなくては明日は無いと言えるのではないか。
近年、日本は歴史的「天変地変」、「異常気象」と天下大乱の様相を孕みつつある。
戦後、大都会に集中したが、その大都会に、破壊的巨大地震と津波が迫っている。
ここ数年で、日本は、とてつもない大混乱の発生が見込まれる。破滅的日本を迎えるであろう。都市型の欧米原理に基づいた日本の終焉とならう。
否、既に、日本は崩壊の端緒に居ると思われる。
巨大地震はその象徴的端緒となるだけで、現実は、戦後日本は崩壊破綻してしまつている事にいち早く気づかねばならぬ。
徒らに外国に学ぶ必要性は無い。自己に帰れ。立派な2千年の祖先がある。
自然国家・日本を希求しようではないか。
真の歴史的日本を目指してスタートを切らねばならぬ時節が到来した。
平成24年8月1日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典