敗戦の月を迎えて  徳永圀典

この鳥取木鶏会活動を積み重ねつつ、思ったことは、

 

「この日本で、何か、大切なもの、先祖伝来この風土で培われてきたもの、精神の拠り所としてきたものが、根底から失われているのではないか」

と感じたのでありましょう、その思いを、新聞の寄稿に或いは出版やら延べ数十回の講演にて、ぶっつけてきたように思うのであります。

 

戦後70年間、日本は、幾多の経済危機を乗り越えてきました。肌感覚で思い出せます。

現在、戦勝諸国と比べて、日本は成功裡にありますが、然し、どうも、それだけではない危機感を最近特に感じるのであります。

 

現在、我々が直面しておるのは、何か、

 

日本人が、幕末、明治維新以来、欧米の植民地化を峻拒してきた末に、大東亜戦争に至った。

 

これは当時の、世界の弱肉強食の横行する苛烈なアジア諸国の中にあって、誇りある独立国家として日本を守り抜かんとする、明治大正昭和の日本人の「志」と「精神」でありますが、それの蘇生こそ肝要であると思ったのであります。

 

現在、再び、世界は、歴史的大変動に入りつつあります。

再び、形を変えた弱肉強食が、地球の生き物の原理として存在します。自分の家は自分で守らねばなりません。他人は守ってくれません。

 

――人間は黴菌ウイルスに最後は負けるー

 

かかる時、国家運営にあたる国会議員の資質の劣化、甘ったれた国家観による数々の不祥事、その国家的志の喪失を見る時、

 

明治、大正、昭和を貫く「精神遺産」を

平成の日本人が、食潰しつつあるのではないか

と危惧しておるのであります。

 

無意識ながら、この国の将来はどうなるのかと言った不安があったから、この25年間の私の言論活動もあった思えるのであります。

 

21世紀に向け、力強い日本を再興するには、やはり

日本人が歩んできた歴史をいよいよ正しく、真実を謙虚に学ばねばならないと思うのであります。

 

政界・官界・経済界の指導者に、

「国家の誇りを守る」という気概と覚悟が薄れている

 

これからの「激変する世界の大波」に呑み込まれない為に、今こそ、明治維新以来の先人の「為して来た事を真摯に見つめ直さねばなりません」。我々はその先兵とならねばならないのであります。

 

   平成2881日 

 鳥取木鶏会 代表 徳永圀典