佐藤一斎「言志耋録(てつろく)」はしがき 

はしがき ()今年(こんねん)齢八ちつ(よわいはちちつ)(のぼ)るも、耳目(じもく)未だ(はなは)だ衰うるに至らず。何ぞ其れ(さいわい)なるや。一息(いっそく)の存する、(がく)廃す()きに(あら)ず。単記して編を成す。呼びて(てつ)(ろく)()う。 

 岫雲斎訳
自分は今年八十歳になったが耳も目も酷く衰えてはいない。何と言う幸いなことであろう。一息でも有る限り学業をやめない。一条ずつ書いていたら一編となった。これを耋録(てつろく)と呼ぶこととした。