一方的譲歩を求める韓国を非難する!!

韓国大統領演説 日本を重要な隣国と言うなら

816日付・読売社説)

 国家間の信頼関係を回復するには、政治指導者がまず、対話に取り組む努力をすべきである。 韓国の朴槿恵大統領が日本の植民地支配からの解放記念日にあたる「光復節」式典で初めて演説した。

 朴大統領は、「日本は北東アジアの平和と繁栄をともに築いていく重要な隣国」と前置きした上で、「しかし、歴史問題を巡る最近の状況が韓日両国の未来を暗くしている」と述べた。 韓国が「右傾化」と警戒する安倍政権への不信の表明だろう。

 ただ、光復節演説で、朴大統領の日本への批判は、全体的には、抑制的だったと言える。 感情的な表現は抑え、慰安婦や竹島問題への直接的な言及も避けた。対日関係のこれ以上の悪化は避けたかったのかもしれない。

 とは言え、朴大統領は、慰安婦問題を念頭に、「過去の歴史による苦痛と傷を今も抱えて暮らす人に対し、痛みを癒やせるよう責任と誠意ある措置を期待する」と、日本に具体的行動を求めた。 慰安婦問題は、日韓関係の喉元に突き刺さる(とげ)だ。過去の経緯を無視して、日本に解決策を求められても無理がある。

 元慰安婦への補償は、1965年の日韓請求権協定で法的に解決済み、というのが日本の立場だ。それでも日本政府は、道義的な責任を果たす努力は示した。 国民から約6億円の募金を集め、アジア女性基金で始めた元慰安婦に対する「償い金」支給などの救済事業のことである。

 それを韓国側は、日本政府の責任回避と批判した。韓国では結局、多くの元慰安婦が受け取らないまま、基金も解散してしまった。

 歴史認識問題で日本に一方的な譲歩だけを求めて、対話や交流を拒むようなやり方を、韓国は改めてもらいたい。

 一方、この日、安倍首相は靖国神社参拝を見送り、私費で玉串料を奉納した。「A級戦犯」の合祀を理由に、中国や韓国が、靖国参拝を外交問題化させていることを受け、一定の配慮を見せたものだ。参拝した閣僚は3人だった。

 日韓は、朴大統領も認めた通り、重要な隣国関係にある。しかし、両国の政権交代後も、首脳会談が開かれないという異常な状況が続いている。

 核開発を進める北朝鮮への対応や経済連携の強化など、重要な課題は多い。歴史や領土問題で一致しないからと言って、首脳が協議もしないのは問題だ。関係改善へ、双方の姿勢が問われよう。