現代信条 その三 

諸君はお互い果して健在であろうか。病気ではないが、健康ではないと云うことが、文明人の弱点であるように。

日本も世界も、今やその運命を決する危期ではないか。

この世界も国民も、各個人も共通の運命的危局を、果してどれほど良く解して居るか。

傍観や孤立は許されない。

それは襲い来る濁流に手を(つか)ねて呑みこまれるのを待つに過ぎない。

()ってこの恐るべき時代の濁流を防げ。

分に応じて協力を惜しむな。

互いに自ら問い、自ら答えよー。

自分は卑怯ではないか、怠惰ではないか、無知ではないかーと。

身を挺して無心に働き、平和と歓喜と曙光(しょこう)を迎えよう。 

            安岡正篤