銀行の未来

金融ビックバンと言われた1996年から2001年の大規模金融制度改革のことである。
銀行の護送船団方式の崩壊であった。住友銀行トップは身構えたと記憶している。

2002
年以降には金融業の規制緩和が進行した。

その護送船団方式解消の嚆矢であったと記憶する。
住友銀行傘下のふそう銀行は、足手まといにならぬよう、ふそう銀行にはまだ余裕があったが、効率の悪いふそう銀行の譲渡を決断し山陰合同銀行へ譲渡した。合銀には山陽道
に持つふそう銀行の多くの店舗網が魅力であった。

最近の、山陰地銀の経費率、山陰合銀は66%、島根銀行は102.7%、鳥取銀行は88.3%である。ちなみに三井住友61%、三菱UFG71%、みずほ79%。

当時資金量はふそう銀行4000億円、鳥取銀行5000億円の同レベルであった。

この直後から山陰合銀の親銀行・日銀は頭取を出さず山陰合銀生え抜きとなったのはやはり住友同様先見の明であろう。

鳥取銀行の親銀行三和銀行は消滅し三菱銀行となったが,鳥取銀行経営と無関係の単なる株主となったと私は判定したし、事実その後、鳥取銀行も生え抜きがトップとなった。

この頃、鳥取銀行経営陣は重大な先見性発揮が不可欠であったのではないか。

現在、銀行業界の直面する環境を見て住友銀行や日銀の先見の明を痛感している。

現在、大地殻変動に直面しつつある銀行界、特に地方銀行の動向は如何!!

私の感触では、地銀再編の動きは既に遅きに失していると断定する。現経営陣はどんな思いであろうか。

ここまでの環境となると先が見えており、買い手・再編統合の相手は居ないのではないか。それどころではないのである。単なる合併・連携では事態解決に繋がらぬ局面と思うからだ。

銀行界の再編では都銀が一早く完成している。
バブル崩壊で日本の不良債権100兆円以上の償却の本元の都市銀行は、死ぬ思いで乗り切り今日の姿になっているのである。

当時の都市銀行、富士、三菱、住友、三和、興銀、三井、勧銀、第一、協和、大和、北海道拓殖銀行の11行であったが、この20年間に再編が進み、現在は、三菱UFG、三井住友、みずほ、の三行に集約されて資本的には世界的に安定度の高い経営内容となっている。

現在、桁違いのレベルの技術革新が広く銀行界を襲っている。
金融革命は、高度コンピューター技術のなせるものであるが、これからは、これより遥かに高い次元の
5G、AIなど、革命的革新が広く金融の在り方を変えるのは確実。これは断定的である。フィンテックなど金融関連技術は、金融の概念自体を完全に一変させるからである。

それは何を意味するのか、銀行のような中間媒体を不要とするものだからである。
これは究極的には銀行のような仲介者は不要となる要素があるからである。

仮想通貨は現段階では問題が多いが、劇的に安全性と信頼性が構築されてゆくと見られるので、そうなると通貨自体の概念も変更をもたらすことに繋がる。
人類未体験の境地に誘導されるのではないか。
30年後に銀行が存在するのかとさえ言われる程の革命的時代の夜明けが近い。

かかる観点から、多くの地銀の決断は遅きに失していると推断している。

    令和元年724日           
           徳永日本学研究所 代表 徳永圀典