その原因であるが、安岡先生によると、

1.   王安石の理想は壮大で、見識も高く、政策も正しかった。

2.   だが、人生の理想と現実の乖離は想像以上に深刻で、それが政治となるし多面的に複雑であ。。

3.   その上に、因習の力は強大で、改革政策を練り上げても思うように実現できない。また、思いがけぬ逆効果、副作用が多発し当初の志との違いが出るものだ。

改革の実効が出ないと王安石は益々強硬な法令で対処し、不服従には弾圧を加えた。故に改革は停滞、党派的抗争が発生し国民生活は疲弊し、遂に王安石は失脚した。

安岡先生は、成島東岳の「老のくりごと」を引いて改革の原則を示された。

成島東岳は、水野忠邦と同じく十二代将軍・徳川家慶に重用された人物、新井白石以来の経世学者と言われた人である。