「せこい」一考察

あの舛添が失脚して、すかっとした切れ味の良い、度胸のある、潔い小池知事となり、日本人は忘れっぽいから既に忘却の彼方のことになったのかもしれないが・・。

「せこい舛添」と言われた、その「せこい」は、

sekoiという和製英語となり、あのニューヨークタイムズにも取り上げられた。これは「sukiyaki」並みのものであろう。

 

「せこい」を手元の辞書で調べた、

広辞苑には、1969年の第二版にはなく、第三版1983年にあり、

「けちくさい、みみっちい」とありました。

 

図書館に行き調べました。

 

「新明解国語辞典」の第四版、1996年には、

「ずるかったり、人目をごまかしたりする所があって、まともには付き合えない感じ」とある。

2012年の第七版によると

「目先の利益にとらわれて、他から見れば、度量が狭いと思われることをする様子」とある。

 

「日本国語大辞典」第二版、2001年ものには、

「ずるい。素早いという意の俗語」とありました。

 

舛添は、

1.   家族旅行に政治活動を紛れこませた。漫画本を公費で購入したり、週末ごとに公用車で別荘通いしたり、「小狡く、度量が狭く、こんな男とは確かに、まともには付き合えそうにない。」

ですが、本人は、「当たり前のような顔」をしていましたね。

2.   東京都知事が往復266万円もかかるファーストクラスで何が悪いかとか、

3.   一泊198千円のスイートルームでなくては恥ずかしいとか言いましたね。

4.   別荘へ「動く知事室」を利用して「どこが悪いか」とも言いました。

――私は、徹底して主張を貫いたらよかったと思うー

舛添は、「成り上がり者の悲しさで、本当の信念など無かったのであろう。

 

当時の、メディアの井戸端会議では、

1.   連日、舛添問題で溢れました。

2.   いつものようなメディアの安易な手法で、習字の「中国服の着用」まで実演して思わず吹き出して笑ったものでした。

3.   だか、舛添の知事への執念執着はただものではなかった。

1.   オリンピックまでやらせてほしい。

2.   給料半分でよい。

3.   最後は、悲壮な顔で地位維持を懇願していました。

4.   本当に「志」が弱かったのですね。

5.   政治の顔の裏に、みみっちい、せこい金儲け、の卑しいものがありました。

6.   舛添は、「みみっちすぎた」。私用くらい自分の金で支払うのをけちつた」

7.   私の青年時代の格言の一つ、ヒルティという哲人ですが、心に刻んだものがあります。

人間の真実の正しさは礼節と同様、小事(しょうじ)における(おこない)に表われる。小事における正しさは道徳の根底から生ずるのである。」

品格というもの

1.   品格というものを思うのです。

2.   戦前は、

農民は農民の、職人は職人の、庶民は庶民なりの

人間としての「人格的品位」がありました。

 

それが、戦後、失われているのです。

戦争に負けるということは、こんなことになるのですね。我々、昭和一桁生まれは、子供の頃から、世界の一等国としての矜持を持って育ったのです。物質的には比較にならないほど貧しい日本人でしたが。精神的には胸を張っていた。

敗戦後は、世界の四等国、となり、国民としての誇りを捨てて、マネーオンリーとなった。誇りの無いマネーだけの日本人になつたのです。

3.   品格とはなんでしょうか。

 威儀を正した端正な姿、しぐさ、たたずまい、そういうものを指すのではなく、「長い歳月をかけて、自分を鍛え、磨きぬいた、底光りするような存在感」だと指摘したのは茨木のり子氏です。

茨木のり子氏とは、

戦後を代表する女性詩人。

その詩ひとつひとつに、時代に屈せず、まっすぐに生きる真摯な姿勢が感じられ、今も多くの女性から支持されていますよ。

 

 

自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

 

私は思うのです。現代は、「媚びたものが多すぎます」、

自分への厳しさが無さすぎます。エッセイ一つ見ても下卑たもの、馴れ馴れしいもの、媚びたものばかり。清澄なるものが無い。

生活が安易となり、生活の厳しさが欠け、人間として崩れっぱなしの人が多すぎる。

ネパールでしたか、生活程度は低くても、素晴らしい王様、素朴な人間性あふれる国もある。そこには

「素晴らしいと叫びたいような人間の品位」を覚える。

せめて、育ちとは無関係だが、言葉を大切にして人間関係を品格あるものにして行きたいものであります。

 

世間を侮り、舌先三寸で言い逃れを図った舛添、「せこい品性と行状」を考察してみました。

      平成28年8月1

       鳥取木鶏会 代表 徳永圀典