変質しつつある日米同盟

極めて重大な発言を紹介する。

1.去る5月、中国を訪問したアメリカの太平洋軍司令官キーティングが5月12日北京の米国大使館でこう発言している。

「もし中国が航空母艦計画を進める方向を選択するならば、彼らが要求する程度にもよるが、我々が可能な程度は手助けしよう」

これは実に、日本国にとり極めて由々しき発言である。これに対して、6月19日の外交防衛委員会で麻生外務大臣や久間防衛大臣は、のらりくらりの答弁であった。 

2.中国が航空母艦を保有するだけで日本には重大な脅威である。日米同盟に反すると言っていいような発言である。日本政府はなんらの抗議をアメリカにしていない。マスメディアも知らぬ顔である。

3.日米同盟がやはり変質しつつあるようである。アメリカは中国に向いている。日本は無神経である。

小沢一郎が、日米は対等だと表明した。そうありたい。対等の条件は、相手に自己の生存を依存していていないことである。現実の日本はアメリカの防衛力により保全されている。口先だけで対等と表明するだけでは身の程知らずである。日本の自主防衛を確立しないままでどうするのか。また、民主党は防衛政策が確立していない。曖昧なままで、そのような無責任な態度には重大な疑問がある。

4.要するに、日本人は、孤島の国家であり島民だから国の防衛に関して危機感が欠如している。現実に被害を受けないと身に沁みる危機感が湧いてこないとすれば、お粗末であり国家の危機である。年金問題ばかりで参議院選挙の趨勢を決めるなどまったく幼稚極まりない。 

5.アメリカの態度は微妙に変質している。北朝鮮への態度を見ても分かるではないか。 

政府も国民も覚醒しなくては危機が迫っている。 

平成19年8月6日 

徳永日本学研究所 代表 徳永圀典