住専問題に就いて
 
平成8年1月20日 日本海新聞社 私の視点に掲載 

住宅金融専門会社の為に確かに財政資金を投入したくない。では投入しなければどおなるか。                      
@先ず膨大な借金の金利が雪だるま式に増えて手の打ちようがなくなる。

Aそして本当に金融不安が現実のものとなる。どおなるか、有力な親都市銀行を除き住専に貸しているその他の一部銀行農協に取り付けが起きる恐れがある。ここの処は当事者、政府、日銀はハッキリ言えない事を知るべきである。

Bもっと率直に申せば農林系金融機関はプロの貸し手である。金利をキチント貰ってきている。対価を得ながらリスクの負担をしないと言う金融機関があるのであらうか。相手が倒産したら当然自己責任を負う即ち諦めるか訴訟で取り立てするしかない。甘えもいい加減なものだ。

C従って本来ならば訴訟で争うのがベスト。

D訴訟となれば裁判の判決迄持ちこたえられない銀行農協の倒産と言う結果も有り得る。さすれば一般大衆の預金は返らない。社会不安が生じて大混乱、金融恐慌の引き金になる。世界に広がる。このように考えるとここで何らかの資金を入れて金利増殖のストップをかける必要がある。                            

Eこれは政党が政治闘争のテーマにしてはならない。宙ぶらりんにしては国民の重大な損失を招くであらう。歯止めをかけておかなくては泥沼に落ちる、遅きに失しているのだ。残る問題としては4割も貸している農林系が何故あれだけの負担なのか不思議である。民間銀行は5兆 円以上も負担するのだ。怒ってよいと思うくらいである。せめてウルガイラウンド妥結時の6兆円の流用で賄うべきである。或いは農林予算内でやり繰りすべきと言うのが庶民感情であらう。余りに政治的処理すぎる。先ず何と申しても、何故今まで放置していたのかの疑問が残る。
既に宮沢元首相も澄田元日銀総裁も責任を認めていたが監督官庁の個人責任は明快にしなくてはならぬ。民間なら当然過去に遡って退職金の返済を求める程の責任である。民間の確りしている処はそうしているのだ。

結論
@財政資金投入は金融不安を回避して一般庶民預金の救済に資するものである。
A政治闘争のテーマは避けよ。
B農林系金融機関の補助は別途対策せよ。混同してはならぬ。
C一刻も早く住専問題を解決しなくては結局庶民の預金不安の基となる。他人事とゆめゆめ考えて はならぬ。
D法を整備して警察、国税庁、検察を背景にして借り手から強力に金の回収を計るべきである。寧ろこの点こそ最も肝要である。
E住専経営者の責任は退任、退職金停止等は当然で遡り私財提供の弁済が妥当である。
本当に我が国の問題処理は、みんなで渡れば恐くないのまあまあ主義の村社会で住専問題の処理はその最たるものである。これでは進歩も発展もないし法治国家と言えない。これでは経済大国とは言えない。以上のように考えるが如何であらうか。      完