戦争の勝敗 日本海新聞潮流寄稿 平成188月1日 

有名なプロイセンの軍事学者、クラウゼヴイッツの戦争論によると「戦争に勝ったか負けたか否かは、その目的を果たしたかどうかで決まる」と。英国の学者は大東亜戦争に勝ったのは日本で、負けたのは英国だと判定している。

世界史的に俯瞰して見るとコロンブスのアメリカ大陸発見以降、白人が欧州を起点として東西に侵略を開始し
19世紀末には日本を除く地球の殆どの国々を植民地化した。武士道精神を持つ日本は敢然とそれを押し返した。
当時の黄色人種は白人種に能力・知力で劣るとされていた。日本は維新して急速に白人に似た国家体制を富国強兵で築きあげ明治
38年、白人大国ロシアとの戦争に勝利し世界を驚かせた。インドなど黄色人種は大いに歓迎した。中国は領土大国、それ故に統一国家樹立は歴史的に至難で日本とか欧米風の統一国家は過去存在しなかった。

中国内は部族の乱立による百家争鳴、その一つと戦い泥沼にはまり込み日本は陥穽に落ちた。当時、朝鮮李王朝は腐りきっておりロシアの南下を前に風前の灯。

ロシアに勝利した日本を見た米国は日本を警戒し日本人差別の政策を取り続け、日本を仮想敵国としたオレンジ計画さえ暖めていた。その為に中華民国を後方支援して牽制を続け日本を疲弊に誘導した。日本に負けたロシアも同様、中国と日本を対決の方向に仕向けた。日・中戦争の端緒となった盧溝橋事件は現中国共産党の仕掛けによる事は事実であり東京裁判でも問題にされていない。
最近発刊された「マオ」によると、盧溝橋事件はロシアのスパイが仕掛けて日本人が爆破させたようにしたという。歴史は勝者の主張さえ変更を迫る。

当時、日本に負けたロシアとか、アングロサクソン米英が日本人の高い能力を警戒して中国と日本を対立に誘導、当時の英米は国連に於いて日本に対し極めて不公平な態度を数々としている。世界の屋台骨を握る白人種のしたたかな仕掛けに日本は嵌められて行くのである。

このようにして確かに戦争に負けた日本だが、ここで冒頭のヴイッツの言葉を想起しよう。日本は白人の侵略に対抗し、アジア人共存共栄を目的とした大東亜戦争には負けたが、結果は全てのアジア民族を白人の圧政から解放し自主独立国とさせる端緒を提供した。アジアから白人を追放したのである。
七つの海を制覇した大英帝国はその全てを失って一島国の昔に戻り、フランス、オランダ、スペイン、ポルトガルもアジアを追われ五百年前に戻ってしまった。小国オランダはインドネシアのあの大領土を植民地として国民は栄耀栄華の極みを味わっていた。インドは英国の植民地であったが、英国の残酷な収奪と非人間性は歴史に残る最大の悲劇と言われる。南北米大陸とて同様で、これら白人種の世界的横暴は歴史的事実であり厳然とした記録がある。

だがアングロサクソンはこの五百年間に世界経営のノウハウを手中に収めてしまったままだ。現在の政治・経済・金融・メディア・石油等々の根幹は彼らに世界操縦の急所を握られ続けている。
これら世界の屋台骨の急所は黄色人種は現在でも限界的な存在で歯が立たない。

このような世界観を中・韓が自覚しアジア人同士で対応できるか否か、それは彼らが真実の世界歴史を広い視野と度量で見つめ得る知的成熟を待たねばなるまい。

その前に彼らの寄って立つ中華思想という時代錯誤の事大主義・倣岸尊大なものから脱却しない限りほど遠いということであろうか。
(鳥取市)鳥取木鶏研究会 代表 徳永圀典