中国の野望 

中国共産党は、戦後の建国以来の五十年間、12回にも及ぶ「戦争や軍事威嚇」を繰り返してきたことは余り知られていない。 

最初の彼らの原爆実験は、毛沢東時代だが、東京オリンピックの最中であった。 

古代、八世紀、唐の全盛は、世界の富は中国に集中したといわれる。現在の中国は、唐以来の勢いを持っている。 

中国は、二度とアメリカに侮られない国家になる、という国家目標を追求してきている。最強の国家としてアジアに君臨しようとしている。 

その国家目標を実現する為の国家戦略を推し進める中で、眼の前の「抵抗勢力」排除のため「力の行使」を繰り返しているのである。 

朝鮮戦争から文化大革命に至るまでの毛沢東による「力の行使」を見ると、中国の核兵器開発と中国現代史は密接不可分のものがある。 

そして、次の、ケ小平から江沢民の時代は「海洋や宇宙」へ発展を図っている。 

ここらの推移の延長線に、「現代版・中華世界」の構築という遠大な中国の国家戦略があると断定してよいと思われる。 

古代の世界文明大国・中華・漢民族の21世紀版を目論んでいる。

中国の興隆は瞬く間だった。英国がスペインを、ドイツが英国を、米国が欧州を抜き去るには、少なくとも数十年を要した。中国は日本が歩みを止めている間に猛スピードで追いつき、抜き去ろうとしている。

古来、多くの国が世界に覇をなし、そして歴史の片隅に消えていった。ペルシャ帝国、ローマ帝国、トルコ帝国などは、数百年間も君臨したが、100年間くらいの栄華の後に消えていった国も多くある。

日露戦争のあと世界の列強となった日本国は、無謀な戦争を起こして敗れた後、「アジアの奇跡」と呼ばれる繁栄を為したが、日露戦争から100年を経た今、緩やかな後退期にある。

激動する世界の奔流にリスクをとって飛び込んでいかない限り、われわれの国は世界史の中で目立たぬ存在になっていくやもしれぬ。

時代のパラダイムも変わった。世界は、環境悪化と資源と食糧不足が一挙に顕在化している。

現在の中国とインドの人口は合わせて25億。その2つの国が大成長を始め、ブラジル、ベトナム、トルコなど、多くの新興国も離陸した。アフリカでさえ、9億人の人口を抱えながらG8諸国を上回る平均成長率だ。

社会主義国家を敵視してきた米国ですら、中国を「対抗相手」と見なすことは止めた。中国型の「民主主義」は世界で市民権を得たのか。 

国家あっての国民という認識不足、国家という概念の希薄で軟弱な戦後日本人、バラバラな日本国民のままでは、間違いなく、近未来には、地勢学と人口面、意志薄弱ならば、日本は中国属領となる。 

それをさせない為には、聖徳太子のあの意気軒昂たる精神の復活と日本の伝統精神の復元が最大級に急務である。 

    平成2191

        徳永日本学研究所 代表 徳永圀典