日本の進むべき道 

今日の日本の世相と世界情勢をつらつら考えると、日本を取り巻く内外の環境は容易ならざるものがあり戦慄すら覚えるものとなっている。 

なぜか、戦前の日本人であれば、日本精神が確立しており、言うならば苦労が身についた立派な大人で国家観が確立しており、客観情勢の判断を間違えなければ、亡国の懸念はなかった。第一、日本人は世界に誇る「大和魂」で裏づけされていた。現在はそれが全く喪失しているからである。 

私は、戦前の在り方が総て良いものだとは言わない。ただ、幕末の白刃を越えて来た明治の元勲なら、先の大戦など、緒戦の勝利段階で「和平」に持ち込んでいたと確信する。私は先の敗戦は、軍部の独走という官僚支配、極端に言えば、東大軍部官僚の机上論、官僚主義のもたらした現実無視による敗戦だと信じている。 

処が、敗戦で、大和魂を喪失した現代日本人は、言うなれば、社会適応力を欠いた人間の如しである。

精神も肉体も、現実対応力も軟弱そのもの、緊張感の欠けた甘い人間ばかりとなり、大臣や国会議員までも然りで、国家観を喪失してしまつている。それは、日本人が肉体と精神の練磨も苦労も無い部屋住みの戦後60年間、無為徒食の豊満体民族となって過してきたからである。 

敗戦でアメリカに完膚なきまでに、近代日本興隆の真因である「大和魂」と「日本二千年の伝統」を否定され、それを信じたままにして来たからである。 

そして現在なお、民主党の如く、左翼勢力ほどその占領軍政策を守っており日本は将に亡国的となってしまった。 

戦前、米英が日本民族の優秀性に恐れを抱き、反日包囲網により中国を一方的に支援し、日本弱体化を図っていたという歴史を忘れてはなるまい。占領政策は、その日本人の国民性改造を企図したもので、日本が再び欧米白人文明の脅威に成り得ないようにする意図が背景にあった。 

敗戦後の圧倒的アメリカ文明への盲目的傾斜のみでなく、日本は明治維新直後、日本伝来の精神を棄て過ぎて欧米文明を取り入れたことも遠因としてある。 

敗戦によりアメリカの武器を背景にした強圧的占領政策により日本は伝統文化を放棄させられ、日本人の特色である大和魂を完全に失ってしまった結果が惨憺たる今日の国家の現状なのである。

昭和27年講和条約締結後、直ちに国民的対応をしなかつた為政者や国民の責任は実に大きい。以来、国民は経済成長に酔いしひれて今日に到ってしまった。 

自らの国は自らが守る気概を棄て、商人国家、町人国家として、経済のみで60年生きてきた為に、日本人は、他国と比較すれば、部屋住み国家に過ぎず、一人前の完全なる成人国家となっていない。物質文明のみに戦後日本人は浸かり、民族の伝統や精神価値を軽視するまでに堕落したのである。 

端的には、北朝鮮に日本人が拉致されても対応策が取れない平気な戦後日本人となってしまつた。国民が拉致されたら、アメリカなら戦争を仕掛けても取り戻すであろう、それが真っ当な国家というものである。 

このような戦後日本を、官民による謀略で中国や北朝鮮や韓国は、「日本を弱体化のままに置くべし」という野望を抱き、官民挙げて日本人に仕掛けてきており、その運動成果が現われたのが左翼民主党内閣であろう。(管談話、歴史教科書や靖国問題、民主党代表選挙に在日外国人の投票を許容等) 

漸く、拉致問題を機に、日本人は多少目覚めつつあるが、現実的には自覚が弱くまだまだひ弱である。 

民主党内閣となりそれが再び脆弱国家への流れとなってきた。それが証拠に、中国やロシアの度重なる海陸領海侵犯、韓国の竹島占領など民主党内閣は全く抗議をしていない。ひ弱な政府になりきっている。日本は危ない。 

戦後、アジア諸国は日本敗戦のお蔭で独立し、中国と韓国が代表するように、歴史上にかってない国家として成長し、白人支配の18世紀から20世紀とは比較にならぬ国家となった。かかる環境の中で、独り日本人が決定的に軟弱化しているから日本は危ういのである。 

更に超大国アメリカが疲弊しつつあり、中国が歴史的に台頭、ずるいロシアは民主党内閣の外交の弱さを見越して、早くも北方領土を返還しないような戦略を明確化させた。北朝鮮に見る如く極東は再び世界の緊張の震源地となりつつある。 

このように思考してくると、これからの日本人の取るべき道は、一刻も早く目覚めなくては滅亡は間違いないこととなる。 

そこで何を目指すべきか、 

@日本肇国以来の精神の復活。

A覇権主義でなく、断然たる、王道主義、道義主義に立脚する。

B排他的、独善的一神教的世界観によるのでなく、包容力と自然崇拝の日本の神様の原理に基づくこと。

C伝統的、道義国家として毅然とすること。

Dその為に、あらゆる自衛手段を完全なものとし、是々非々の態度を強く全面に出すことで世界を精神的に、道義的リードする。世界には、悪の国々もあることから「力」を確保する必要が不可欠である。

E要するに、「伝来の日本精神」の近代的復元しかないと思うのである。 

それらの国民的な基本思想は教育勅語である。

これは、どの国家でも模範とすべき内容である。

これの率直な評価を強く望みたい。

       平成2291

徳永日本学研究所 代表 徳永圀典