中国は多面的考察を 

一体、シナ四千年の歴史は、侵略と征服の連続史であります。ことら蒙古族が侵入して宋を倒し元を建て、満州族が入って清朝三百年の覇権を樹立した。 

この如く、少なくとも、二度は異民族に征服さされて、百年あるいは二百年、清朝の如きは297年でありますが、それくらい久しきに亘って支配された。 

中国は多面的考察を

世界の歴史を見まして、かくのごとく絶えず異民族の侵略を被りながら乃至は百年、二百年の久しきに亘って征服されたというような民族は、或はアイヌの如く、あるいはアメリカ・インディアンの如く、憐れむべき残骸を留めるに至るのでありますが、漢民族というものは幾ら征服されても征服されても、悠々として少しも姓名を弱めない。のみならず、世界民族の爬虫類と言われる程強靭なバイタリティを持ち、独特の文化を持って、逆に征服者をいつの間にかすっかり同化して彼の姓名を吸収して、そうして反対におっぽり出すというような凄い芸当を演ずるのであります。そのために征服しておきながら、蒙古族も満州族も見る影もなく劣敗したのであります。この民族に対して、日本人が浅薄や、性急な感情で考えたり、言動したりすることは寧ろ危険であります。ロシアとシナは特に長い目で多面的に深く考察せねばなりません。 

       安岡正篤先生の言葉