安岡「改革のポイント」

改革と言うものは、民衆が長い争乱の苦に悩みぬい た後を承けてやる時よりも、却って平和遊惰の気風に染まった後に行う場合のほうが難しいものである。

改革は、主として理性と意思とによるが、人間の放たれた感情は理性を好まない。これを融和して、感情を理性に従わしめることは、よほど実生活に行届いた注意と技術とを要する。それを誤ると、感情は容易にかつ執拗に反発し、裏切るものである。

               東洋宰相学