偽政
昔から、国家再興の基本を建てる時には、必ず人材を択んだものです。
人材を得ますと、難しい問題でも思いのほかに容易く解決することもあります。
ただその国の長老たちが、「おれでなければ出来ない」、と思う心が少しでも胸中にあって、自分の気に入る者だけ集めようとすると、人材があっても目にうつらないでしょう。
またその気持ちをもって人に議論させた上、自分に気に入ることだけを採用するのであれば、わざわざ会議にかけるというような、余計な手数を少なくした方がよろしい。
これを古人は胸中有物と言っております。
この頃の政治を見ておりますと、かたちだけの議会政治となって、ロクな議論もしないことが多く、議会制度の弱点を暴露しております。胸中有物とは偽政であります。
安岡正篤先生の言葉