財界では、東京電力、東北地震後は、惨憺たるもので見ておられないが、社長・会長の平岩外四氏は、社長就任時、安岡先生から、中国清朝時代の陽明学者である曾国藩の言葉を贈られて感銘している。それは、

「冷に耐え、苦に耐え、(はん)に耐え、閑に耐え、激せず、(さわ)がず、(きそ)わず、以て大事を成すべし」であった。

経営トップは、孤独、周囲は冷たい、経営者は苦しみの連続で多忙極まりなく煩わしいことばかりで、それに耐えて行かねばならぬ。閑な時間はない、経営上のことで閑職に追いやられることも有り得る、それに耐えよ、と言うことである。さらに、つまらない事に腹を立てて激せず、躁がず、調子がいいからと言ってはしゃがない。競わずとは、社長が専務と競争とか喧嘩するなである。だが、何でもいいなりは良くない、自らの信念・所信を持つことが肝腎である。この言葉などは、トップとして実に相応しい座右銘であろう。