世界金融市場と日本の立ち位置
7月末、日本銀行は金融政策を「ほぼ現状のまま」継続すると発表した。その前、噂が世界に流れて世界の債券市場に少し緊張が走った。
不安があるのは当然なのです。
日銀が金融政策の進路を変更しようものなら世界金融に影響があるからです。
その理由の一つ
1. 日本が何十年も貯蓄余剰を積み上げ世界金融市場に及ぼす影響力が大きいからです。
数字を挙げて説明します。
日本の「純対外資産」、つまり日本が国外に保有する資産から外国に対する負債を差し引いた額は
2017年で335兆円。これは日本の国内総生産の6割となります。本当に日本は超大国であります。
これは、実は極端な金融政策の結果でもあります。
中々インフレ率が上がらぬ体特別な措置を取ってきました。
日銀は、短期金利をマイナス0.1%、年間80兆円の長期国債を買うことで10年もの国債利回りを0%程度に維持しています。
国内の上場投資信託も年間6兆円購入している。まさに「型破り」であります。
この為、日本の銀行、企業も個人も金利の高い外国株式や債券を購入できた。
この為、日本の対外資産は1910年には国内総生産比111%でしたが、2017年には185%に増加した。
これは日本の資本流出でもありまして、それが円安の結果を生み出しているのです。
ハンバーガーの値段で「各国の購買力」を比較する方法があります。これほ「ビッグマック指数」といいます。
「日本は主要な国際通貨」の国ですが、最も割安になっています。
そのビッグマック指数ですが、
アメリカドルに対して、
ユーロは マイナス14.1%
英国ポンド マイナス23.2%
日本円は マイナス36.4% と極めて割安。
日本の投資家は、
フランスの国債の10%近く
オーストラリアとかスウェーデンの国債の15%
アメリカの社債も大量に保有しているのです。
このように、日本の動向は、
世界のあらゆる資産の価格を大きく左右する存在。
だから日銀の政策動向は、劇的な影響力を保有していると言える。
円安だから、
ドルの立場から見れば、最も安く買えるのが日本と言うことになりますが、これは「極めて不自然」だと、フランス、大手銀行ソシエーテジェネラル、
先ほど述べた、ビッグマック価格で見た場合です。
だから、「円は高騰する」可能性が実に高いわけです。
日銀が特別措置をやめるとなると
1.量的緩和の時代が本当の終わりの合図となる。
2.その場合、大混乱が起きるでありましょう。
3.日銀は、なかなか正面切って路線変更がいいだせまい。だから日本の大手金融も7月末の日銀の政策の評価が違っています。
4.アメリカもEUも金融緩和の出口の扉を開いています。長期金利のアップです。
日本の金融市場に占める存在感は大きいのでありま
す。
平成30年9月3日
徳永日本学研究所 代表 徳永圀典