安岡正篤の言葉 平成28年9月 徳永圀典選

 

組み合わせで決まる

 世の中のことは全て組み合わせから生まれる。いわゆるこれは配合だ。交配だ。天の配剤妙なるかなの一語に尽きるのであります。薬というのは必ず合わせる。だから配剤という。合わさんと創造にならん。

 

腹のある人間

 今日の人間は、なんぞと言えば頭が善いとか、悪いとか、頭で人間を評価する。もう我々り先祖が言うたように「腹」ということを余り言わぬ。

頭とは何であるか。それは浮世三分五厘的生き方に過ぎない。世の中を深刻にわたること、人間を真実ならしめること、人生を尊くすることなどに役立つ力ではない。そこに「腹」の尊さがある。

腹とは世の中を深く洞察し、人生にどっしり落ち着いて、自己、他人、世間、国家、すべてを真に血あり涙ある尊いものにしてゆく力である。これからの世は、殊に頭の人間では救われない。今までの教育で腹のある人間が出来ようはずはないではないか。

           天地有情

 

中立

中立ということも、只どっちにも就かぬということではない。自ら信ずる所あって、その価値判断に照じて、いずれにも与することも正しくないから、一歩その上に出ることが真の中立である。故にいづれが正しいかということがわかって、その正しい方に就かぬというのは卑怯であり不義である。 醒睡記

 

交通事故を起こす人

 交通戦争と言われるように自動車事故が非常に増えましたが医者の統計によりますと事故を起こす者は大体において我が強く、せっかちで、目先のことに夢中になるという共通した性癖の者であると申します。そして、この性格の者は一度ならず二度も三度も繰り返して同じ事故を起こしております。これらの原因は運転技術の問題ではなく心理的原因によるものです。そこで結論を申しますと、我々は常に安心感とか感謝の気持ちとか余裕をもって事にあたっておりますと、どんなに仕事が忙しくとも健康を害するようなことはありません。     先哲講座