気の力

「人間の生命に与えられた活きる力というものは、肉体にあるのではなく、霊魂という気の中にある」

およそ人間として完全な活き方をするには、本当に心を積極的(やる気)にしなければいけない。いかなる場合にも、心を清く、尊く、強く、正しく持たねばならない。

生きているという不思議な命の力は、肉体にあるのではなく、霊魂という気の中に霊妙な働きを行う力があり、それはあたかも回っている扇風機にそれを回す力があるのではなく、電気という気(後天の気)がこれを回しているのと同様である。

人間の肉体が生きているのは、霊魂という気(先天の一気)の力が肉体を活かしているというのが、本当の悟りである。

健康や運命に関係なく、いつも元気でいられるのが人間である。たとえ我が身に何事が生じようと、またいかなる事態に会おうとも、完全に活きるための根本的基礎となる心の態度を、断然消極的にしてはならない。いつも、「清く、尊く、強く、正しく」という積極的態度で終始しなければならない。

そうすれば、自分でも不思議なほど、元気というものが湧き出してくる。そしてその元気つまり元の気が、ただちにやる気、活気、覇気などの「先天の一気」を呼びよせ、原動力となり、健康的にも、運命的にも、すべてのことが完全に解決されてくる。

5体不満足の乙武君は元気いっぱいである。

5体が満足していても元気のない、奴がいる。

人間には、勇気はあるが、辛抱が足らんという奴がいる。希望だけで、勇気のない奴もいる。勇気も希望も、誰にも負けないくらい持っているくせに、すぐ諦めてしまう奴もいる。

先天の一気を呼び寄せ、勇気・希望・忍耐、この三つを抱き続けた奴だけが、自分の山を登りきる。どれ一つ欠けても、事は成就しない。

参考)運命を拓く(天風瞑想禄)

中村天風

講談社