お釈迦さんの哲学を超翻訳 白鳥春彦氏

智慧ある老人になる方法 

お前が歳を取るのならば、その時には

誠実で、人格があり、悲しみに溢れ、

何をしても他人をそこなうことなく、

また慎み深く、身と心がいつもととのった、

そういう人になるように。  

悪の毒がむしばむ 

人は何が悪であるか知っている。悪はすぐそばにある。

悪は、ときには美しく見え、誘惑的でもある。

そういう悪はいつでも自分の手の中にある。

そして、手の平にもし少しの傷でもあるならば、

悪の毒はそこから体内に入り、容赦なくむしぱむであろう。

自分に一つの傷もなければ 

悪の毒にみすみす冒されることはない。  

瞑想の深みに達する人の安楽  

心を一つにまとめ、瞑想の深みに達する人は

この上ない楽しみを味わう。

しかし、この楽しみは、歌舞音曲によってもたらされるような楽しみではないと知れ。

ここにある安楽も、世で人々が味わう安楽ではないと知れ。     

執着しなければ悲しみは生まれない

  悲しみがあるのではない。

  これは自分のものと執着したものが朽ちるから悲しむのだ。

  持つとは何か。所有とは何か。

  それは本当におもえのものであったためしがあったのか。

  おまえは本当に持っていたのか。

  持っていたはずなのに、変わり、ついには朽ち果てたではないか。そのことを悲しむのか。

  おまえさえ執着しなければ、その悲しみはなかったのに。  

その人の行いを見よ

  その人がどこから来たなどどうでもいいではないか。

どんな地位にあるか、どんな功績があったのか。

どんな血筋を引いているのか、など

まったくどうでもいいではないか。

ただ、その人の行いを見よ。

今ここにおいて、何をするのかを見よ。

行いが正しく、羞恥があり、身と心を慎んでいるならば、

その人は、生まれがどうあれ、今から高貴な人ではないか。  

喜ばれる真実の言葉を述べよ

  語るならば、

他の人を害さない言葉を舌に乗せよ。

その言葉が然し自分を害するものでもないように。

おもねって語るのではない。

真実を、しかし喜ばれる真実の言葉を。