国民もエゴを越えなくてはならない

平成9年8月22日 日本海新聞 私の視点に掲載

今国会は21世紀を見据えた日本リストラ最後のチャンスであろう。近年、政界、行政そして財界と各分野でバブル時代の清算とも言える不祥事の摘発と、それに連動して政界と行政に混乱があった。橋本総理は、近年来の総理としては真っ当な方で未来に向けた大仕事に取り組んでいる。総理は2001年迄に省庁を半減する、聖域は作らないと言った。11月迄に結論出すとも言った。総理はどおやら本気の感じがする。これは国民サイドから見て国益に沿うものであり大いに歓迎し実現を期待したい。
また、政党間と議員ベースでは見苦しい政争、スキャンダルの暴露で国民は政治離れしてしまった。国民の利益から乖離した議論の横行が目立った。こんなことでは日本は滅びると誰しも思った。最早、後がないのだ。そして、今度の国会である。私は今度の国会と次の国会を逃してしまっては日本の21世紀は無いとまで思うものの一人である。そこで国民の代表である議員諸氏と各政党に要請したい。

@知の不毛と言われる国会である。今度こそ、地域エゴ、各省エゴ、私利私欲エゴを排し た真のステイツマンらしい議論をして頂きたい。


A国家的大局観即ち国民国家の未来の布石という視点で政治家として大所高所からの意義 ある国会にして頂きたい。


B官僚とか財界とか労組の利益代表のような言動は絶対避けて頂きたい。もとより特定宗 教の代表なぞ論外である。国民と国の未来のためという観点で知恵を絞って頂きたい。C現在は明治維新に匹敵する変革の時である。当時の政治家の勇気と気概を見習って頂き たい。己を虚しくして国民の未来に向けた見識を示し、そして断じて行なうのが国民の 代表である議員の役割であることを初心にかえり銘記して頂きたい。議員を国民サイドから見る判定の物差しは、議員の見識と胆識であることを忘れないで頂きたい。これを書生論と言う勿れ。原理原則をまじめに追求することを余りにも忘れたが故に現代の混乱があると思うべし。


以上、国民は等しくそう願っていると信じる。我々国民は、今国会の政治家、政党をしっかりと観察して彼らが国民とか、日本の未来の為に真剣にやっているか見届けようではないか。これが国民の権利と義務なのである。そして次の選挙で審判するのだ。
ただ、いたずらに反対して甘い言葉で国民に迎合する政治家、政党、一部ジャーナリズムの真贋は厳しく見極わめねばならない。国民も視野の広い高い立場に立ち判断しなくてはならない。国民もエゴを越えなくてはならない時なのだ。       完