日本海新聞 潮流寄稿 平成17年6月2日
中国の台頭
B経済成長年率9.5%は抑制値との噂、極端な地域偏重は富の格差を増幅し、社会基盤の更なる歪みなど矛盾の累増に直結する。
C言論・結社の自由あらば人民の不満解消は可能だが、全く無く、偏向した愛国教育は指導的大国として不適格。アジアの盟主たらんと覇権外交、陸海空・核軍事力大増強、故に尚一段の国内矛盾が拡大し危険な方向に進んでいる。 民主化なくば世界との調和は究極的に至難且つ深刻な対立を招く。経済・軍事のみ肥大させ、民主化の不当な遅延は世界が許すまい。
D混乱なく中国が軟着陸するのか、それは世界にとり最大の関心事。日本は政経とも中国に組み込まれ過ぎれば共倒れの危機を招く。
E現政権の治安維持能力は抜群、数年で中国を崩壊させることはなく矛盾を抱えたまま経済成長をひたすら希求して行く。それは矛盾を孕んだままであり、ソ連70年の人間性無視による破綻と同様の結果を生むに至るのか。中国人が世界の現状と自らの現実との較差に真に目覚めた時こそ矛盾は炸裂する。
F米国は中国の成長を目の当たりにして脅威を持ち始めた。中国は太平洋覇権を挑み、米中対決を触発しつつあり、それは地球規模の対決となり得る。
G中国が平和裏に先進諸国と融和するには、民主・人権・軍事・私有財産・知的所有権の保護・法治の徹底・透明性等の国際的認知が必要だが一党独裁と民族資質から至難と見る。経済発展と共に今後さらに軋轢が続出しよう。伝統的重層構造の中国にその是正が可能か、偽物の氾濫は世界の敵である。
H中国の致命傷となるものは、歴史に見る如く人間性抑圧に起因するものであろう。ネット時代であり、いづれ世界の現実を知り啓蒙されれば必ず体制破綻を誘引する。それが脅威であるが故に政権は強権を以って国内の弾圧をやめまい。それをそらす為の絶好の触媒が、凛とした国家観が欠如し、中国に腰の引けた政治家・財界・大マスメディアの存在する日本である。戦後、中国は複数の隣国に数度も侵攻した。彼らの言う日本軍国主義などは欺瞞に過ぎず、平和日本60年を無視した中共のご都合主義、民主化の萌芽が出れば内部から崩壊しようが偏向教育の結果は末恐ろしい。
Iわが国は1972年の日中共同声明で「戦争を通じ中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」と表明して以来、首脳会談・文書で、公式に反省・謝罪の表明を20回以上重ねた。これ以上、日本人として我慢ならぬ。一度妥協すれば靖国・教科書・尖閣・油田・沖の鳥島と次々と無礼に主権侵害してくるのは必定。
J中国とは1200年間、距離を置いて交流した祖先の知恵ある歴史を鏡とすべき、さもなくば千年単位の屈辱を強いられる。現在その分水嶺に在るが小泉総理でなくば綱引きに負けていた。中国との不用意な妥協は、対等な日中関係を維持してきた歴史を汚す。商売の為に民族の魂を失い、後顧の憂いを子孫に残してはならぬ。
鳥取木鶏クラブ 代表世話人 徳永圀典