安岡正篤先生 特別講話
その七
非を知るとは
真実に自己を否定して転ずると言うことは非常に難しいことであります。
遽伯玉の「行年、こうねん五十にして四十九の非を知る」というのは、
一度否定して改めて前進するということであります。
五十年たっただけの変化をする。七十になって五十になっただけの変化をする。
生きている限りは変化してやまない。
唯変化するだけではなく延びる、進歩である。
これが本当の易学易道であります。
(易学のしおり)
猶興の士こそ
ベンジャミン・キッド(英国の社会学者)曰く、
「猶興の人物に
依って新しい時勢が出来る」と。
今日の時勢にあき足らぬ者、独醒どくせいの士が出ることは、感応の原理から言えば一つの感であり、
そこに必ず応ずる者が生まれる。これを同志という。それは時勢に対してはまだ無力だが、やがてそれらが
結ばれて有力となって来る。それが次の時勢を作って行くのである。 (瓠堂随聞記)