常軌を軌逸した無法国家・中国

   ―略奪・殺戮を文化とし、

恒を黒と言いくるめるその手口―

その一

戦後荒涼たる国土・厳しい自然条件

私は今から20年程前、初めて戦後中国を訪れ、華北平原から満州から北の都ハルピンまで汽車で旅をした事がある。3月中旬というのに零下10度、松花江は氷結していた。中国の春はまだ遠い先だと感じながら帰国して次の印象を日記に残した。

「帰国の第一印象は、。日本は勿体ない程の緑の国だと言うことだ。冬でも日本列島は緑につつまれている。それに対して中国は、地平線の彼方まで黄褐色の乾いた大地で、車窓からは緑は一本も見えなかった。

何日も雨が降った形がなく、草も虫も鳥もいない無生物の貧しい死んだ自然。そそこにはただ「天と地」があるだけだ。「山川草木転荒涼」さんせんそうもくうたたこうりょう、とは、乃木将軍が詠んだ錦州だけではなく、目に入るこの国のすべてが、「荒涼」の二字に尽きる。中国は、日本で言う田園というものが無い国だ。

何十時間走っても森も林も鎮守の杜も映じぬ大平原。時おり大地にへばりついた土の家の貧しそうなむき出しの村落と民衆。高粱やトウモロコシの幹も、冬の寒さが厳しいから燃料にしてしまう。有機物が大地に還元されていない。四千年の間、十億の民が土地から略奪するだけ奪って、自然の生態を完全に崩してしまったのだろうか。

また中国には日本のような山がない。山からは水や肥えた腐植土が不断に里へ流れてくる。中国では平原の尽きる所にハゲ山があり、これを超えるとゴビの砂漠に連なる。日本は山奥ほど緑が深いのに、ここでは山奥ほど荒涼となると」

日本の豊かさが、国土の八割を占める山と森にあることを知って、今さら乍ら感動した。