平成1682  日本海新聞 潮流寄稿随想 

検証「海洋国家・日本」

1.  
日本は島国であり大陸国家ではない。朝鮮半島はユーラシア大陸の半島であり大陸圏に属する。半島は有史以来、中国の政治動乱に翻弄され中国の侵略を受け続けてきた。近世の李王朝5百年は中国の忠実な、否、儒教的には清王朝が漢民族でなかった為に寧ろ儒教の主流意識さえあった。韓国が朝鮮戦争の侵略国・中国に謝罪を求めなかったのは旧宗主国に位負けしているからだ。日本は中国と海洋を隔てること900キロ、故に大陸の政治動乱は直接の影響がなく独立性を維持し続けてきた。607年、推古天皇の中国天子への文書「日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙−つつがー無きや」に見るが如く、常に対等で、従属することなく過去二千年間を過ごすことを得た。これは日本の主体性、矜持、独立の根源であり、島国ながら堂々たる国家としてこられた真因である。ユーラシア大陸の西の英国も日本と同様な位置にあるがドーバー海峡は大陸と近いので欧州の政治動乱は日本のように無影響ではない。英国、日本、そして米国は共に海洋国家である。
2.
現今中国は、共産主義により国家も民族も変質した。この中国が、外資により、とてつもない経済成長を続けているが、軍事的にも、米国に対抗する大覇権的、核保有の大軍事国家を目指して巨大な軍事費を注いでいる。本来、大陸国家は攻撃的な潜水艦は不要であるが、大陸棚の石油資源と台湾確保の意識が強烈で海洋国家的整備を強烈に進め、日本の領海侵犯を平気でしている。日本の宗教問題やら、教科書にまで内政干渉を堂々とする。これは、彼らが百年単位の戦略思考を持って、敗戦の影響が今なお強く残る精神軟弱な日本を、今の中に叩きのめしておくのが中国の国益と見ての思考であろう。これは韓国とて同様と見てよい。竹島、尖閣、沖の鳥島などに口ばしを挟むのは今が歴史的チャンスと見ているのだ。どの国も理不尽なまでに国益を、道義など無関係に主張する。日本は政治家も野党も外交官も精神誠にひ弱で勇気がなく国益に命懸けが無いから脆い。

3.

日本が中国の政治に影響されるとどうなるか。島国日本はすべて大国・中国の属領的なものとなる。一旦そうなれば、千年単位の民族的、歴史的大失態として、過去二千年のあの独立不羈の栄誉ある国の精神は消滅しかねないものとなる。要するに、歴史的に朝鮮半島と同様な地位になることを意味する。韓国は今や左派政権となり、急成長の中国に大きく靡いておるし、北朝鮮と韓国は統合の心理もある。北の核は韓国民には捨てがたい心もあると見る。中国は北朝鮮と結びついている。このように見ると、未来の様相が鮮明に見えてくる。朝鮮半島が中国の属領的になれば先祖が恐れた幕末情勢に酷似してくる。即ち、玄界灘が地政学的、政治的な国境となる。既に、半島とは対立の萌芽が見られる。だから、対中、韓、北朝鮮に、無原則な交際をしてはならない。日本はあくまで国益を守り主張しなくては危ない。少なくとも中国に従属されないようにしなくては栄光の歴史的日本は消滅する。小泉総理が靖国問題で頑固に中国とか近隣諸国の意に従わないのは民族矜持千年の思考が潜む。これに負けると連綿たる日本の精神は消滅する。外国の意に従う必要は豪もない。民族の悲劇を招来する契機となるからだ。

4.
しからば、日本は、自由と主体性と矜持ある民族として生き永らえる為にどうするか。それは七ツの海を支配する海洋国家の米・英と同盟しEUと提携、中国の影響をモロに受けないようにすることだ。なすべき事をして国益を毅然として主張することだ。日本は決して中国に隷属してはならぬ、中国は靖国問題を利用して日本を戦略的配下に置こうとしている事を絶対に忘れてはならぬ。台湾も海洋国家であり、日本にとり死活的要衝である。わが国の国民総生産はアセアン諸国と中国の合計の二倍もある。勇気を持てば対処は可能、要は国益に忠実な胆識・勇気ある国会議員と政府次第だが国民のバックアップこそ真に最重要である。

鳥取木鶏クラブ 代表世話人 徳永圀典