“小泉総理大臣”

隠忍持久を重ねて久しいと言うべきか。何を隠忍してきたか、それは小泉純一郎総理に対する批判をである。残念ながら、遂に小泉総理について語らねばならぬ日がやってきた。これは実に悲しいことではある。

然し、今回のイラク戦争に関する総理所信表明は、日本国益の観点から、過去のお粗末な総理に比して、国益を断乎として踏まえたものであり極めて高く評価する。これは米国が、日本への攻撃は米国への攻撃と見なすとの発言に応じたものだ。米国のかかる発言は唯一、日本に対してのみである。

昭和27年の安保条約改定大反対運動に見る如く、戦後左翼の煽動する大衆は歴史眼がなく国家にとり重大な誤りを招く恐れがある。反対派に遠慮は無用であり総理の今回の決断は正しい。

日米同盟の機軸をキチント確立した点は歴史に残るものだが、内政、特に経済政策には厳しい目を注がなくてはならぬ。

私は、2年前にこの気骨と気概ある総理に大いに期待し暖かい目で見守ってきた。確かに近年稀な宰相としての気質がある。当初の国民大多数の気持ちと同様であった。最近の所見を順不同で纏めて見たい。

1.
私は、国家経済の疲弊とそれによる国民の辛抱をノーと言うのではない。韓国と違い、これだけ巨大な経済大国となれば大舵取りの変更には国民の痛みは必然である。然し、政治の必要以上の混乱とガバナビリティの欠如が現在の結果を招いている事は絶対的事実である。

 バブル後の不良債権問題の全責任が政治家、政府、大蔵中枢官僚に在るのは明白で銀行悪者説は国民的スポーツと化し、銀行は政治のスケープゴートにされてしまった。これは実に経済合理性を欠く。

2.
国債をやたらと発行して一時的な景気を煽れというものでもない。

3. 
日本国民は優秀である、現在おかれている状況をつぶさに、丁寧に、総理としての哲学を込めて具体的数字を駆使し、懇切に丁寧に国民に語り、何をなせば再び良くなるかと、諄々と語って欲しかった。この
2年間、小泉氏には、遂にそれがなかった。郵便局と特殊法人のみの印象で、何か欲求不満を残す後味の悪さを痛感するし言葉も足りない

4. 
小泉氏は、戦後の硬直した諸々の諸体制に蛮勇を、身命を賭して、奮う人物と思っていたが間違いであった。官僚に篭絡され、特に大蔵官僚に、篭絡されてしまった。

5.
金融、銀行問題の抜本的解決に、やる気が皆無と判断せざるを得ない。現場感覚のない学者の竹中に丸投げして、宰相らしい胆識を経済面で全く発揮する事無く、妙な事態を迎えてしまった。
アメリカの銀行問題解決成功は、税制の裏づけがあったればこそである。このように放置するとは、小泉氏は、米国資本と暗黙の了解があったのではと疑いたくなるのも道理である。国民の間には、ここ10年間、アメリカにマネー面でしてやられたとの思いがある。今回のイラク戦争反対の潜在心理的結びつきがあり得るのだ。
叉、総理は大蔵官僚の言いなりであったのではないか。武藤氏を日銀副総裁に起用の優遇は、その辺の事情を想像させて余りある。
「改革なくして成長なしへの具体的道筋と国民への説明がスッポリ抜けている。」これでは到底納得できない。
今からでも遅くはない、総理のこれ等の発言次第で株価の局面は変化する。

6. 
閣僚でも、実に良くないのがいる。一内閣一閣僚と言ったとしても、国家、国民の為に、宜しくないと見れば断乎として更迭することが総理としての責任である。それに拘束されて自縄自縛に陥ったとは、もはや、国益責任者として落第となる。カタクナ過ぎる態度であり、柔軟性を欠き一国の総理として取るべき態度ではない。

7.
政府官僚の完全統率、奥田経団連会長の言のように、各省官僚で総理方針に反逆する人物は即、更迭すればいいのだ。かかる国難的事態において総理しか出来ないことなのだ。矢張り、小泉氏には官僚に操縦されている部分が見える。これでは日本の破滅的状況から抜け出せない。国会議員官僚の優遇打破こそ究極の日本救国政策である。国会議員・官僚革命こそ必要なのだ。

8. 
税金を喰って生きてい連中の大整理こそ、国家を救い、叉、最初に取るべき手段である。公的部門の大整理こそ最も必要な政策である。その代表が国会議員・中央官僚であるが小泉氏には、それが出来なかった。もはや、小泉氏の役割は終わりつつあるかも知れぬ。

小泉総理の宰相としての命運は既に尽きつつあると見るむきもあるが、私はなお、小泉総理に期待をしたい。このまま野垂れ死にさせるには惜しい人物であり敢えて発言をする。
小泉総理、今こそ、初心忘るべからず。 
平成15年4月1日本文は本日、総理官邸と自民党へメール送信した。

平成15年4月2日 総理官邸官房より回答ある。
小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございました。いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせていただきます。内閣官房の職員がご意見等を整理し、総理大臣に報告します。あわせて外務省、内閣官房行政改革推進事務局、内閣官房安全保障危機管理担当、内閣府、金融庁へも送付します。 内閣官房