三上山海抜428米

関西百名山登山記録bQ8 
平成13年1月20日 曇のち雪 参加者 森川 清水 宮田 安東 長戸 徳永
集合場所 JR大阪駅 東改札口 午前8時

窓の外はボタン雪と雪国で呼ぶ大柄の雪で、しかも吹雪であった。拭いてもふいてもバスの窓はすぐに曇る。尋常なら温泉場から10分程度なのに積雪、と言っても僅か4−5センチなのだが、道路は通行禁止となり午後1時半で食事も温泉も締め出された。町の特別車で迂回して小一時間かかりヤットの思いで役場前に着いた。曇った窓の外を見たら降りたばかりの老婆が私に向いてニコットと微笑んだ。この笑顔の素晴らしさが印象深かった。お互いに、いい具合に下山できて良かったねという共感のほほ笑みであろう。顔を皺くちゃにした、あの笑顔のなんと和やかなことであろう。私はバスの中で、お婆さんと会話はしなかつたが後を振り向いた時に視線は合った。言葉は不完全なものだ、元々言葉はいらないものかもしれない、人間が分かりあえる為に。そう言えばバスの運転手の親切さ、あの方も間違いなく教養のある人であろう。言葉使いも穏やかで品があった。勢いこちらも、話が弾んだ。甲西駅に立ち寄つてくれたのは人情もあるお方であったのであろうが互いに風韻が合ったのかもしれない。みんな喜んでくれて張り合いがあると言ってくれた。言霊がある国なのだ、わが国は。運転手には珍しく人品骨柄の卑しからぬ人であったと思う。
鳥取市内にロゴスという本屋がある。老舗で私が旧制鳥取一中の学生時代から立ち読みした店である。初めににロゴスありき、という言葉をここで思いだした。旧約聖書にある。学生時代は、熱心なキリスト信者で、聖書に明け暮れた日々であった。
さて、森川、清水両氏の謦咳に触れる事を得て何年となろうか。私は両氏に共通しているある事柄を深く認識している。それは我々若造に対して、いついかなる時にもモダレイトに接して下さっているという事である。言葉を替えれば、人格的存在として敬を置いて下さっているという事なのである。これには感謝するばかりである。上に立つ長老がいいから、節度があるから月山会は和気靄々とする。[至れば其の言う所を観る。]八観六験の一節である。内外の人間の接触の中で今日はこんな事を思った。本日は大成功。
午前8.15分 大阪駅新快速に乗車  外気は3度 午後雨の予想
午前9.20分 野洲駅着 徒歩で国道添いに御上神社へ。ここは里宮であり三上山の磐境を奥宮として不二一体の信仰祭祀が古代のまま行なわれているとある。祭神は天照大神のお孫、天之御影神という。
午前10.00 三上山表山道入口 午前10.30分 磐境ーーいはさかーの通称割れ岩、ここらで雪がチラチラ、近江平野が一望できる筈だが、下界も雪模様で視界不十分。比良山の山々も琵琶湖も雪で見えなかった。ただ村落がアチコチニ多く見えて昔日の平野の風景ではない。やがて、展望台に着く。雪は降りしきり気温2度。野洲川が大迂回している。然し、低い山だが、登りは岩山登りのようで、結構、険しいものであった。
午前11.00 三上山山頂着 気温1度 海抜428米 ここで森川会長の一言、下山すると。オヤ、と思ったのだが、これが事後の大正解となろうとは。指導者の先見性と決断とはかかるものだと思い知らされる事となる。タクシーに電話して植物園に12時過ぎに待機手配、一時間繰り上げだ。下りも急峻であるが、案の定と言うべきか、雪がひどくなる。
午前11.50分 植物園バス停に到着、雪は一段と吹雪の様相となる。全く以て、鳥取の吹雪きのようだ。タクシーで甲西町、十二坊温泉へ、山の頂上にあるが、道路では、既に一般乗用車はエンコして車輪がから滑りしている。山々は真っ白となっている。運転手は、通行止めになると言う。
午後12.30分温泉地着 雪は一段と積もっている。都市住まいの方々には珍しい風景であろう。中々立派な施設で、早速飛び込んだ。露天風呂もあり、中々適温で頭にタオルをかけて、いい湯だな、みんなでワイワイガヤガヤと楽しむ。頭のタオルには雪が積もっていた。風呂から上ルと道路の通行禁止だ。この吹雪の、風呂上がりの後に数キロの雪中行軍かと覚悟した。処が、町のバスがくるという。20−30分遅れて到着して無事に、予定以上に草津駅に到着した事情が冒頭に記した通りである。全然、雪にも濡れず、予定を大きく早めて帰途につく事となった。歴史にifはないと言う。然し、今回は現実的ifがあった。山頂でカプチーノコーヒーを飲む。一時間近く昼飯に使うとしたら、いかがな結果を招いたであろうか。検証してみる。@雪で下山が難渋したA雪でタクシーが来てくれたか保証できない。B温泉に入れない。C当然の事乍ら、ビールと熱燗と暖かいスープと、あの焼売もなかったであろう。D第一、あの情緒ある露天風呂にも入れなかつた。E更に、印象深い、この情緒ある雪中登山は得られなかった。と言えるのではないか。おにぎりとアンパンはお土産となった。
午後14.10分 甲西駅着 午後14時56分乗車 午後15.20分 大阪駅着16.25分無事に帰着 私は京都発特急が京都の雪の為20分遅れ鳥取着午後20時半でした。鳥取は本日は終日雨であった由、帰宅時は曇りでした。素晴らしい一日に感謝。