聞学起請(もんがくきしょう)(もん)

一.(かく)の如く()()く、(あるい)(いっ)(こく)に生れ、或は一郡(いちぐん)に住み、或は一県(いっけん)()り、或は一村に()り、一樹(いちじゅ)(もと)に宿り、一河(いちが)(ながれ)()み、一夜(いちや)同宿(どうしゅく)一日(いちじつ)夫婦(ふうふ)一所(いっしょ)聴聞(ちょうもん)暫時(ざんじ)の同道、半時(はんじ)戯笑(げしょう)一言(いちごん)会釈(えしゃく)一坐(いちざ)飲酒(おんしゅ)同杯(どうはい)同酒(どうしゅ)一時(いちじ)同車(どうしゃ)同畳同坐(どうじょうどうざ)同牀一臥(どうしょういちが)軽重(けいちょう)(ことな)るあるも、親疎(しんそ)(べつ)()るも、(みな)()先世(せんぜ)結縁(けちえん)なり。

          説法(せっぽう)明眼論(みょうげんろん)

二 我等(われら)(しょう)(えん)によって(あい)(まな)ぶ。一齋先生(いつさいせんせい)(いは)く、(わか)くして学べば(そう)にして()すあり。(そう)にして学べば()いて衰へず。老いて学べば死して()ちず。

 (げん)志録(しろく)
三 ()(がく)(つう)(ため)(あら)ざるなり。(きゅう)して(くる)しまず、(うれ)へて意衰(こころおとろ)へざるが為なり。禍福(かふく)終始(しゅうし)を知って(まど)はざるが為なり。       荀子(じゅんし)

四 花園(はなぞの)天皇宸記(てんのうしんき)にのたまはく、(およ)内外(ないげ)和漢(わかん)書反覆之(しょはんぷくこれ)を読めば必ず其の義を知る。義に於いて(うたがい)()しと(いえど)も、再三(さいさん)乃至(ないし)数回(すうかい)に及んで必ず道義の心を染むる有り。手の舞ひ足の踏むを知らざるの心自然にして(きた)るものなり。書を読む人は必ず此の心を以て稽古すべきなりと。()(そん)(また)(かく)の如し。(いは)んや吾曹(われともがら)(おい)てをや。