今、なぜ関西なのか B
  
V]おわりに 

用瀬・智頭・佐治のトップ鼎談を

いろんな例を引用しましたが、経済の発展に循環とか交流が欲しい。私の住む用瀬の池本町長に聞くと、流し雛の館に年間5万人の来館があると言う。これは、県東部の新規参入の観光拠点としては画期的なものであろう。初めは異様な感じも受けたが流し雛の館も今は周囲にしっとりと融和して用瀬のシンボルと化した。その経済効果の程は聞き漏らしたが事業家の池本町長には次なる計画があるようで今後を大いに期待したい。佐治は1万人か。智頭はどうだん祭りやらで6万人と聞いた。ここで申したいのは、この折角の観光客が三町村を周遊できる工夫ができないかということだ。佐治を越えた岡山県の奥津温泉は車で一時間程度である。誘引できないだろうか。町の枠、県の枠を越えて地域全体の相乗効果をあげる事を工夫しなくてはならぬ時代が到来している事を為政者も住民も銘記する要があろう。アイディアマンの大河原智頭町長にも大いに期待したい。

付加価値こそすべて−−川上から川下までを

八頭郡は木材の名産地であるが、数十年かかって育てた原木を伐採して売るだけ の素材産業にとどまっていては何とも勿体ない。下請けも育たぬし第一、利益が地元に潤わない。高度の付加価値をつける創意工夫を息長くやって欲しい。前述の通り、技術をつける、それに芸術性をつければ立派な文化となる。飛騨高山の木材と飛騨の匠を思い出して頑張って欲しいと思う。例をあげてみます。原木を育てる、製材する。住宅木材(鳥取はここまでか)。銘木、民芸特産品、合板工場、製紙用チップ工場、それらに関連する周辺あるいは物流事業等々。このように地元で完結できる企業群があればどんなに素晴らしいか。地元は雇用から末端利益まで大いに潤う。このケースは中々難しい話ですが、要は川上から川下まで一貫した事業システムが地元にほしいと思う。地元のある業種でそれを完成している企業を知っているが安定した経営をしている。その社長は寝ても醒めても仕事に工夫しているから着眼が実に良い。事業には創意工夫が何より大切だ。それとバイタリティだと思う。これとは別の観点で最近上場企業入りを果たされた日本セラミックの谷口社長のマインドには敬意を表ししたい。事業家は小成に甘んじないで欲しいものだ。ビジネスは創意工夫次第、夢を限りなく追ってほしい。

関西圏と地域ぐるみの交流にまで高めよ

以上、縷々述べたように東部は関西経済圏と深く結びついている。その延長線上 にこそ東部の繁栄があるとみる。各界のトップに一段とその認識を深めていただき指導力を発揮した貰いたい。交流を高め輪を広げる工夫をもっとしてほしい。域内調整のみでは後手に回る。その手がかりはいろいろあると思うが、財界に関して言えば、何といっても進出企業ナンバーワンの鳥取三洋電機。ここは大阪の三洋電機の製造部門で地味にやっておられるが力もあるし下請け企業は地元に多くかかわりが深い。本社は関西財界での存在も大きい。トップとの接触と交流を深めれば、既に鳥取についての理解もあることであり次なる良い知恵もアドバイスもいただけるのではないか。 もちろん、米原商工会議所会頭も昨年大阪の佐治会頭と接触を始めておられる。 外にもドンドン交流を広げ深めて頂き鳥取の存在感を関西にしっかりと認識させてほしい。こちらに目をもっと向けさせてほしい。東京以上のエネルギーを政・官・財界とも一段と関西に注いで欲しい。必ず活性化につながる良い知恵が出てくると心から信じかつ希望したい。
以上、35年ぶりに都会から帰り郷土に住んでみて感じたことをまとめてみました。何かのご参考になれば幸甚に思います。
  (徳永圀典元ふそう銀行代表取締役常務)