新ヘゲモニー闘争か---新大西洋戦争か

米国がイラク戦争を国連決議なしで開始した時に、私はユーローの勃興と米ドルの威信低下の背景と関係があるとこのホームページで発言した。21世紀の新しい世界地図の下図が描かれようとしているのかもしれない。イラクは、サウジに次ぐ世界第二の産油国である。米ドル覇権維持に絶対必要な石油を取り込むアメリカ対EUの確執が本質的要素ではないか。イラクはヨーロッパ特にフランスと関係が深かった。

1.最近、米国国防省の下部組織がイラクには大量破壊兵器は無いとする報道があった。

2.ブッシュ大統領が開戦前に、フランス・ドイツを名指して古いヨーロッパと決め付けた。

3.イラクのフセイン大統領が石油代金の決済をドルからユーローへシフトへと言い出していた。

4.中国もユーローへ資金シフトをしたとの記事も昨年あった。

5サウジアラビアと米国との不仲が報道され始めたのも昨年であり同時にドルから資金を引き上げ始めたらしいと感じていた。

6.一昨年末からユーローが急騰し始めた。これは9.11事件の年末である

7.米国の財政・貿易赤字は年々増加し巨額となり修復不可能ではないか。従ってドル安に歯止めがかからなくなっている。

8表面では正確に見えないが、一国の浮沈をかけた経済の権力、権益闘争は裏で凄いものがあるのであろう。

9.国内要因で苦しむ日本には、これ等を戦略的に洞察し戦略的対応をする余裕がない。

10.私は、この戦争は、米国の深慮遠謀なる大戦略があり、21世紀の覇権争い、即ち米国とEUの覇権争いだと確信する。だからドイツ・フランスは古いヨーロッパと本心を述べのではないか。

10.     米国はロシアを抱き込もうとしている。ロシアは石油資源が豊富である。米国は中国と不仲のインドも取り込んでいる。成長と軍事力大増強を続ける中国の包囲網戦略もあるのではないか。

21世紀のヘゲモニー争いは始ったばかりと言えるのではないか。このグレートゲームの埒外にいる日本は、また大きく取り残されることとなる。
平成15年6月15日 徳永圀典