日本あれやこれやーその17

平成17年9月

 1日   箸

日本人の箸の使い方は極めてデリケート、指以上の働きもあり、器用で繊細優美、知的レベルの高い国民性と相関関係にあろう。

箸の重さは西が軽く東が重いと言われる。京都は軽い唐木を使い、東京は「あすなろ」、東北は水に沈む鉄木や黒檀を用いる。
 2日

日本の子供は「箸の使い方」により家庭の環境や「躾」を判断した。

現代の女優など、いい大人の箸の使い方の粗雑さをテレビで見るが、日本人に非らざる風景である。.
 3日 手と足の文化比較1.

足は狩猟民族のシンボルで長く、強く、より広範囲の活動を余儀なくさせた結果である。長さの単位のフィートの語源はフットであろう。

狩猟民族は、草原、平原、樹林地帯等の広範囲で獲物を確保しなくては生存不能であった。

 4日 手と足の文化比較2.

手―、定着・手業・手豆・手掛かり・手軽に。

足―、移動・足業・足豆・足がかり・足軽に。
 5日

下駄と靴

下駄は村落内の移動と土と泥の風土に最適。木材は日本ならではの産物である。

靴は、広大な土地をダイナミックに移動するのに最適。靴は皮が化けると書くように牧畜民族の所産。
 6日

水虫の流行

明治以降、欧米文化流行で、靴の利用が増えたため全国的に水虫が流行した。

下駄は日本のように湿度の極端な風土に相応しく水虫にはならない。寺田虎彦の「下駄の生理学」「下駄の力学」がある。
 7日

下駄箱は靴の文化には無い

欧米には下駄箱が存在しない。

日本はマンションに住んでも、内と外を分けて下駄箱はあるのは清潔な証拠。
 8日 立たされる罰

足の民族は、立食パーティ、立ったままの討論会、サッカー、ラグビーと立つのに強い。

日本では、学校などで懲罰として「立たされる」というのは、座る生活の日本には苦痛であったからだ。

 9日 日本人の時間観念1

節目、けじめを貴ぶ民族性からの帰結である。

元旦と大晦日が大きな節目、師走の多忙に特性が見られる。
10日

日本人の時間観念2.

季節に生活のリズムを合わせるのは農耕民族の特性、24節気に更に雑節を増やしている。

右記ー24節気一覧表

小寒

16

大寒

120

立春

244

雨水

219

啓蟄

36

春分

321

清明

45

穀雨

420

立夏

56

小満

521

芒種

66

夏至

622

小暑

77

大暑

723

立秋

88

処暑

823

白露

98

秋分

923

寒露

108

霜降

1024

立冬

118

小雪

1123

大雪

128

冬至

1222

11日 けじめ好きの日本人

ただ今、は外国語にはない。行ってきます、行っていらつしゃい。お帰りなさい。

頂きます。ご馳走さま、起立,礼、着席。
12日 けりがつく

大和言葉である。

百敷−ももしきーや 古きのきばのしのぶにも なほ余りある 昔なりけり
13日 さようなら 「そうであるならば、サテ」の要約である。
文語では、「さらば」となり、現代の「じゃあね、またね」であり次の行動に移るための接続詞で日本独特の表現。
英語はグッドバイ、GOD BE WITH YOUである。神があなたと共にあれの意。
14日 元旦とけじめ

大晦日と元旦の鮮やかな区切り、大忙しの暮れと、ケロッとした元旦の初詣一億総詣でする。

西洋の宗教儀式でもない元旦の初詣、「一年の計は元旦に在り」のけじめである。 

15日 元号とけじめ

歴代天皇は、数年から十年を目途に改元して人心を巧みに一新し時代転換をしてきた。

けじめ文明の重要な使命が天皇の元号大権である。元号の無い日本は気の抜けたビールである。
16日

国語の乱れは国の乱れ

ドイツの哲学者フィヒテは1087年ナポレオンに首都ベルリンが踏みにじられた時、「ドイツ人に告ぐ」という有名な講演をした。「ドイツ語がある限りドイツ民族は滅びない」と。

戦後60年、幼稚なメディアの煽動で、日本語が多いに乱れている。これは亡国の現象である。
17日 日本語はどこかに来たか

言語学者により100年以上追求されているが、いまだその由来は分からない。日本語はユーラシア大陸のアルタイ系の諸語(モンゴル語,トゥングース語、チュルク語)のどの系統にも属さない。

一番近い国・朝鮮語さえ、少なくとも五、六千年前までの範囲では兄弟関係にないことが証明されている。

18日 世界一複雑な日本語

世界には2794の言語がある。日本語は仲間の言語を探すのが困難、孤立した言語という。

漢字文化圏というが、中国語とは文法、発音がまるで違う。日韓は文化同源と言われ語順こそ共通点があるが、ヨーロッパの英独仏間のような類似性は日韓語には無い。
19日 日本語の特色1.

欧米語がアルファベットの僅か26文字を主体に表現されるのに、日本語はカタカナ、平仮名、漢字と三種類の文字を持ち、さらにそれを自由に組み合わせて使用する稀な言語である。

欧米語が表音文字の組み合わせ、中国語が表意文字の組み合わせだが、日本語は仮名の表音文字と漢字の表意文字を組み合わせている。
20日 日本語の特色2.

日本語は全く同じ名前や事柄に、少なくとも三通りの表現が使われている。

それは和語(大和言葉)と漢語と洋語の三本立てである。
21日 日本語の特色3.

例えば、和語、「うち」は漢語で「家庭」、洋語では「ホーム」。和語の「知らせ」は「報道」「ニュース」。

「誂え」は「注文」「オーダー」である。
22日 日本語の特色4.

漢字には音読みと訓読みがある。山川はサンセンでもヤマカワでもよい。草木はソウモクともクサキとも読める。

日本語は単語の数が世界一多い。平凡社の「大辞典」には72万語、中学生の辞書でも5万語はある。

23日

26文字と数千文字の違い

26文字でき表現に微妙な差異を示せない。ビタミンでも、戦犯でも、クラスでも、ABC・・の分類だけである。商品も数字の0から9まで。

日本語ではイロハのような無意味な区別でなく甲乙丙、優良可、大中小、松竹梅、内容に意味と情緒が多彩に表現可能である。26文字民族は意味ある文字を知らぬ民族である。日本語はこうして数千の応用の差がある優れた文字を保有している。

24日 これが分かるか26文字民族よ

五月五日の端午の節句「菖蒲湯に入って、尚武の気風を養って、人生の勝負をつける」

「貴社の新聞記者が汽車で帰社した」頭がよくないと分からないよ。
25日 日本語は縦横自由自在

インド・ヨーロッパ語族系のローマ字が「横文字」で左から右へと横並び。

日本語はタテでもヨコでも自由自在、珍しいいほど便利な言語である。右書きも左書きも可能。
26日 図形もどき 木―林―森の構成の妙。山道の頂上を峠。風が止まると凪―なぎ 躾は身を美しくする。みんな和製の国字である。
27日 大和言葉の漢字化

えびを海老、アマを海女。かげろうは陽炎。

コタツは火燵。のろしは狼煙。大蛇はおろち。
28日 近代化成功は和製国字

ヨーロッパ文明の日本語化である。理学、物資、元素、分子、引力、電気等は明治の和製語である。

哲学、天文学、主観、客観、命題、前提、演繹、帰納、郵便、科学など枚挙にいとまがない。
29日

経済、社会主義、文明、交通、哲学、手続き、引揚、鉛筆、演説。

侵略、信用、銀行、会話、計画、原則。
30日

環境、情報、化学、危機。

因みに中国では、テレビは電影、チョコレートは巧克力、エレベーターは天梯、自動車は汽車、汽車は火車とお粗末。