日本、あれやこれや H日本の原理4. 日本人と神道
フランス人、オリヴィエ・ジェルマントマという作家は「日本人の生き方こそ、世界を救える唯一の民族である」と言っている。世界の歴史を見ても、自分の国の歴史と、民族の誇りを失った国は必ず滅びる。日本人という自覚と誇りに目覚めて欲しい。「日本の原理の根幹」である神道を、新年にあたり再び別の視点で見つめたい。平成171月元旦 徳永圀典
平成17年 1月

 1日 八百万の神々

やほよろずの神々がわが国には存在する。

古より我々を取り巻く山川草木に宿る「神」であり、これに親しみや畏怖を感じ敬うのが本来の姿である。
 2日 国譲りの真の目的

天照大神の使いで香取・鹿島の神様が出雲に行かれて、この国は大和朝廷が

治められる土地だから、これを譲りなさいと言われて平和に譲ったことを意味する。
 3日 事代主神
ことしろぬしの神

出雲大社の祭神、大国主命の長男である。このお方がお隠れになる、この意味は、

大和朝廷が政治的なことするので、信仰的なことから大和を治めて欲しいの意である。日本最古の神社、三輪神社の祭神は事代主神である。
 4日 共に生きる

神道の祭りに見られる「神様をひたすらお喜ばせし、生かされていることに感謝する心」は日本人の持つ素晴らしい生活の知恵である。

働くは労働ではない、「はた」と「らく」である。「はた」とは周囲のこと、「らく」は楽しむだから、周囲の人を喜ばせるが働くの、日本の真意である。
 5日 国家神道

明治政府の大きな誤りであった。キリストとかイスラムのように、全知全能の神がいて、従わないものは罰を受ける

という思想は本来、日本の神様には無い。即ちそれまでの日本人はそのような考え方をしていない。
 6日

晩冬

小寒

16日頃、寒気厳しく「小寒の氷、大寒に解く」。

 7日

正月の花

めでたい花、橙―だいだいーは子孫が長く続くように、ゆずり葉は無事に次ぎの世代に継続することが出来るように、この時期に咲くので福寿草と目出度い名がつけられたという。

常緑樹の松は常盤の松として、竹は節目として、南天は難を転じるである。

 8日

正月の花2

ヤナギには字を当てる楊というカワヤナギもあるが、正月に飾るのは、枝がしだれる柳である。春先にいち早く芽ぶいて季節の訪れを感じるからだ。

柳の枝を丸く輪にして「結び柳」にするのは、観音菩薩が手に持つ浄瓶に柳の枝を丸くして差し込んであるからと言う。観音様はこの枝で水を滴らせて衆生を救われる。
 9日

大寒

120日頃、一年で最も寒さが厳しい日々が続く。

しかし、日脚はかなり伸びて「光の春」とも言われる。
10日

破魔矢と梓の木

正月の縁起物、梓の木が使われる。 正月18日、宮中で行われる弓場殿、的を射る競技。梓の木の弓は力があると信じられている。
11日

けがれ

けがれは穢と言う字を書くが、汚いという意味ではなく「気枯れ」という宮司もある。

我々を生かしてくれる神様の気を枯らしてしまうものが「けがれ」という。もろもろが体についてしまい、元来の素晴らしい姿が見えなくなった状態を言う。
12日

祓い

前日の、もろもろ、罪・穢という異物を消せば元々の体となる。世界で日本人だけが考えたこの「祓い」で消すのである。

その「我」という罪・穢を祓いなさいというのが「祓い」である。
13日

手を合わせる

神社でする拍手である。これは理屈なしの感謝の祈りである。

生かされている感謝の表現である。
14日

清浄

世界的に稀な清浄を重んずる宗教である。人間の体は元々神の分霊―わけみたまーとしており、

この体と心を「清く正しい」状態、即ち本来在るべき姿にしたいという古日本人の思想である。
15日

荒魂

「あらみたま」である。 上代日本人の神霊観で、神霊活動の盛んな様子、また作用である。
16日

和魂

「にぎたま」である。

霊魂の穏やかで平安な働きを言う。
17日

奇魂

「くしみたま」である。 霊妙な不思議な尊い力や働きがある神霊への古代人の観念を表現したもの。
18日

幸魂

「さきみたま」である。

日本書紀の「神代上」に、大己貴神が共に天下を治める者を求めた処に出現したのが、大己貴神の「幸魂奇魂」−さきみたまくしみたまーである。三諸山の宮を求め大三輪神となったと記されている。神霊の働きにより幸福となることを称えた名称。

19日

鎮魂

「たましずめ」である。離遊の魂を招いて身体の中府に鎮めること。

邪気を祓う時に十種神宝―とくさのかんたからーの名を唱えながら振ればかなう、とされている。「おおみたまふり」とも称する。
20日

分魂

「わけみたま」である。

我々の心と身体は神の分霊であるとしている。この心と身体を清浄、「清く正しい」状態、つまり本来、在るべき姿にしたいという古代日本人の思想である。
21日

天津神
大和系―国

「あまつ神」である。

天上遥かの雲の上にいるとされる。大和系とも言われ天孫系であり国家を治め関与する神。
22日

国津神
出雲系―地方

「くにつ神」である。

スサノオなど出雲系の神々と言われる。政治と神道とないまぜになり神話と歴史の古代二大勢力の反映であろう。
23日 天乃御中主神「始源神」
アメノミナカヌシノカミ

この神は8百万の神々に先駆けて最初に高天原に最初に現れた神である。日本神話の「始源神」。古事記の本文冒頭「天地初めて発けし時、高天原に成り座せる神の御名は、

天之御中主神、次に神御産巣日神、神産巣日神。この三柱の神はも並独神に成りまして、身を隠したまいき」とある。天地が開けた時の最初に出現した中心の神。
24日

高御産巣日神たかみむすひのかみ

造化三神中の一神。

本居宣長は、「されば世に神はしも多に坐せども、此神は殊に尊く坐々て産霊の御徳申すも更なれば、有が中にも仰ぎ奉るべく、崇き奉るべき神なり」としている。
25日

神産巣日神
たかみむすひのかみ

産霊―むすびーの働きを司る神。

物を生み成す働きに強くかかわる造化三神の一神。
26日

宇摩志阿斯訶備比古遅神
うましあしかびひこじのかみ

天地混沌の時、葦の芽のように強い生命力を宿して生れた神という。

最初の三神に続いて生じた神。
27日

天之常立神
あめのとこたちの神

国之常立神―くにのとこたちの神

天地の出現に深くかかわる国土が形を整えない時代に生れた神。大地の出現と永遠の安定を願う神名。

天地開闢と共に出現した国土形成の神。国常立尊とも言う。最初からの五神の後に生れた神。国土の永遠の安定を祝福する神名である。
28日

伊邪那岐命・伊邪那美命

高天原より天降ったこの世の初めの夫婦神。日本の国を生まれた。続いて家屋・海・山・川・風・草・木・土地の神々を生れた。最後に火神を生み伊邪那美命は火傷で死ぬ。伊邪那岐命は伊邪那美命を黄泉の国に追

うが帰り、筑紫の橘の日向の小門の阿波岐原で、穢れた心身を浄める為に祓いをされた。左目をすすぐと天照大神、右目をすすぐと月読命、鼻をすすぐとスサノオ命の三神が生じたとある。
29日

建御雷之男神

たけけみかづちのおのかみ、勇敢なる力で国譲りを成功に導き、神武天皇と東征ほ助けた武人神である。

関東より東の軍神、鹿島、香取、諏訪の祭神。

30日

天照大神

月読命

高天原を統治する皇祖の太陽。古事記では「天照大御神」日本書紀では「天照大神」とある。天照は秩序の根幹であり皇祖神として統治の正当性を保証する。
月読命―つくよみのみこと―夜の国を治める男神、月の神であり農耕神として祀られる。

天之忍穂耳命―あめのおしほみみのみこと

―天照大神の御子神―長男―で、日本統治を託された最初の神、現皇室の先祖。

31日

須佐之男命

スサノオのみこと、天王と呼ばれ、全国の神社祭神の約7割近くを占める。私は隠れた日本の最初の開拓者・覇王ではないかと信ずるに近い。

古事記では「須佐之男命」、書紀では「素戔鳴尊」とある。暴力神として、結局は出雲に追放されるが、出雲では一転して善神となる。強く頼もしい神として信仰が深い。一名を牛頭天王、糺の神と言われる。