3月4日 六然の説明
これが出来たら、それこそ自由人である。我々はとかく、自処(みずからしょす)紛然(るにふんぜん)。処人(ひとにしょす)冷然(るにれいぜん)。有事(ゆうじ)茫然(ぼうぜん)。無事(ぶじ)漫然(まんぜん)。得意傲(とくいごう)然(ぜん)。失意(しつい)悄然(しょうぜん)とでも云うようなことになって、ここに云うように、自分には一切捕らわれずに脱(ぬ)けきっており、人に対しては、いつもにこやかに好意を持ち、何か事があれば活気に充(み)ち、事がなければ水のように澄んでおり、得意の時もゆったりしておるということは、よほどの修練を要する。
「随処(ずいしょ)に主となれば、立処(りっしょ)皆(かい)真(しん)」。こうならねばならぬ。 百朝集