34日 六然の説明

 これが出来たら、それこそ自由人である。我々はとかく、自処(みずからしょす)紛然(るにふんぜん)処人(ひとにしょす)冷然(るにれいぜん)有事(ゆうじ)茫然(ぼうぜん)無事(ぶじ)漫然(まんぜん)得意傲(とくいごう)(ぜん)失意(しつい)悄然(しょうぜん)とでも云うようなことになって、ここに云うように、自分には一切捕らわれずに()けきっており、人に対しては、いつもにこやかに好意を持ち、何か事があれば活気に()ち、事がなければ水のように澄んでおり、得意の時もゆったりしておるということは、よほどの修練を要する。

随処(ずいしょ)に主となれば、立処(りっしょ)(かい)(しん)」。こうならねばならぬ。             百朝集