国定公園・日本の滝百選 猿尾滝 兵庫県・村岡町 

実に素晴らしい滝である。
上段の滝ーー落差39米、 下段の滝ーー落差21米、通計落差60メートルの滝である。滝の景観が猿の尾に似ていると言われ命名されたという。

上段の滝の下、ごつごつした真っ黒い岩肌の上を、水が飛沫を上げて流れ落ちている。
猿尾滝をつくっているのは、ひん岩岩脈で「猿尾滝ひん岩」と呼ばれている。岩脈とは、まわりの岩石や地層を切ってマグマが貫入し、それが冷え固まって厚い板状になった岩体のことである。ヌメ滝のような谷が流れている。
猿尾滝に見られるこのひん岩の岩脈は、長さ約5.5km、幅500mにわたって南北方向に細長く分布している。地質図を見ると、蘇武岳や妙見山の山中にも、いくつかのこのような岩脈がほぼ並行に並び、岩脈群をつくっていることがわかる。また、少し離れて、氷ノ山あたりにも分布しているものがある。
これらの岩脈は、主に北但層群村岡累層中に貫入してる。また、照来層群(新第三紀鮮新世)の一部を貫いているところもあるため、これらの岩脈は照来層群とほぼ同時期か少し遅れて貫入したと考えられている。