霧降高原

日光キスゲ


日光連山の一つ女峰山から長く険しい尾根を東に目を向けると、霧降高原の主峰赤 薙山(標高2010m)がそびえている。山頂の東斜面にキスゲ平の笹原 が遠目にもよく分かる。この峰々から鳴沢川と霧降川がいくつもの滝を抱えな がら流れ下り、その両側には広大な霧降の森が大谷川まで続く。赤薙山 麓のこの地域が霧降高原。

霧降高原は、
(1)キスゲ平とその周辺のピーク(赤薙山、焼石金剛、丸山、大 山)で構成される山岳エリアと、

(2)日光三名瀑の一つ霧降滝をはじめ多く 美しい滝に彩られた鳴沢川、霧降川周辺の渓流エリア、

(3)たくさんの生き物た ちが暮らす広大な森林エリア、の三つに分ける事ができる。

標高1300mのキスゲ平から小丸山を経て丸山、あるいは焼石金剛に至るルートが山 岳エリアの中心。

冬場は霧降高原スキー場として親しまれているキスゲ平は、ニッコウキスゲの群生 で有名、カタクリやカラマツソウの群落、リンドウやギボウシなどた くさんの山の花、ヤマツツジやレンゲツツジはもちろんコメツツジ、ホツツジ、ヤ シオツツジ、ドウダンツツジなどツツジの群落など、花咲き競う美しい高原。
日光連山の東端に位置し南面、東面、北面への眺望は見事で、春から夏には ビンズイ、ノビタキ、イワヒバリ、カッコウ、ツツドリ、アマツバメなどの 野鳥に出会える。

霧降滝から霧降川に沿って丁字滝、玉簾滝、マックラ滝を廻るルートが渓流エリア の代表。

華厳滝、裏見滝とともに日光三名瀑の一つに数えられる霧降滝は、滝壺から真近に 見ると(現在は道の崩落で滝壺に降りる事が不能)落差、水量ともに 堂々たる滝で、周囲に広がる霧降の森は神秘的なこの滝の印象をさらに際立たせて いる。観瀑台からもそのスケールと森林の美しさが十分に見る事ができるす。
霧降川に沿った道を歩くと誰もが最初に感動するのが水の清らかさです。この源流 域の清流にはイワナなどの渓流魚はちろん、多くの水生生物が暮らしていま す。樹上に産卵するモリアオガエルや森の中を歩き回るアズマヒキガエル、水中の 小石の下に潜むトウホクサンショウウオなどの両生類や、美しい声のミソサ ザイ、瑠璃色に輝くオオルリ、清流の中で餌を探すカワガラス、頭上でさえずるカ ラ類などたくさんの野鳥たちは、清流と森の豊かさの証明。
バッコヤナギと真っ赤なフサザクラの花で渓流の春は始まり、ダンコウバイ、キブ シ、フジ、ウツギ、エゴノキ、ホウノキ、ヤマボウシなどが素朴な花を楽し ませてくれる。丁字滝、玉簾滝、マックラ滝の周辺ではカタクリやコンロンソウ の群落が迎えてくれる。