沈む朝日それでも社長辞めず、編集局長を解任
            身内ニッカンまでが「朝日が散々」

 従軍慰安婦問題を扱ったNHKの番組内容が政治家らの圧力で改変されたと朝日新聞が報じた問題などで、同社は9月30日、秋山耿太郎社長が会見し編集局長の解任などを発表した。同社が設置した第三者委員会に「取材の詰めが甘い」と指摘されたのを受けてのものだが、記事の訂正や謝罪はなく、10月1日付の朝刊各紙は一斉に「それでも新聞社ですか」などと厳しく批判した。

 朝日新聞は同日付1面で、秋山社長が「詰めの甘さ反省します」の見出しとともに事実上のおわびを掲載。別の面では2ページにわたってこれまでの経緯、第三者委の見解や同社の考えを長々と掲載した。

 一方で、取材対象者の録音テープから起こしたらしき証言内容が「月刊現代」9月号に流出した問題に対し、同社は吉田慎一・編集局長、横井正彦社会部長を更迭。秋山社長は報酬の50%を3カ月間自主返上としたが、肝心の流出源や録音テープの存在の真相は「詰めの甘い」調査のままで、けむに巻いている。

 こうした朝日の対応に朝刊各紙は1面トップなどで詳報。毎日新聞では「事実解明なしで新聞社ですか」と挑発的な見出しの社説で、「朝日新聞は、どこか勘違いをしているのではないか」と切って捨て、社会面では現役朝日記者の批判的な声も集めている。

 産経新聞も総合面では「『何のための記者会見なのか』という怒気を含んだ質問も飛び出した」と、第三者委4人のうち3人が欠席するご都合主義の会見を詳報。社説も「なぜ潔く訂正できないか」「同じ報道機関として、理解に苦しむ」。読売新聞は「社内処分、今年延べ15人」という朝日を取り巻く“異例の事態”を指摘している。

 さらに朝日新聞系の日刊スポーツも社会面で朝日のCMをもじった「朝日が散々」の大見出しが躍った。また同紙でも指摘する「1カ月で編集局長2人解任」という状況のなかでも秋山社長の引責辞任は取りざたされておらず、今後の動向が注目されそうだ。

ZAKZAK 2005/10/01