竹中平蔵

@ 私はバブル崩壊による日本経済の建て直しに蛮勇を奮う時期を逸してしまったのは政府だったと固く信じている。事実その通りである。

A その責任は大蔵省にある。これも事実である。

B 政治的責任は当時の宮沢首相である。彼に勇断が欠けていたからバブル崩壊後の時間がかかりすぎて、巨大な損害を広範にだしてしまつた元凶人である。

C そして、追い込まれて出てきてメスを奮ったのが竹中平蔵である。

D ここで、竹中は、過去の大蔵省と銀行界との約束事を無視し一方的に放棄した。監督官庁の約束事を破棄された銀行界はたまつたものではない。私は、それを竹中の暴論だとして、当時、徹底的に反論した。読売新聞・経済学者等も反論した。然し、政治権力には銀行界も逆らえない。

E それにより、銀行界は、大蔵省とか監督官庁の背信により、いうなれば、政治・行政の尻拭いの役割を果たしたのである。総額100兆円を、国家に替わり自己の蓄積を放出し、自弁して、なお且つ不足も公的資金受け入れにより、更に銀行員の大幅削減もして切り抜けたのである。日本のためにである。

F 権力に弱く、大衆に弱い、金持ちの銀行業界は黙りこむしかなく、必死に生存をかけた。大銀行でも消滅した銀行も多く出た。

G その国家の背信の役割をしたのが竹中平蔵であり、銀行業界の負担により、政治の無能の尻拭いをしたのである。政治のスケープゴートになつた銀行業界であり、これも事実である。竹中は、非情に歴史的役割を果たしたのである。国家的難関の突破とはそんなものであろう。

H これだけの犠牲は銀行界しか負担不能であつたろう。日本国家存亡の時だから、それはそれで結果はよかったのであるが、しかと認識しておくべきではないか。

I 前置きが長くなつた。その竹中平蔵である。上述の事実は、さて置いて、学者としての枠を超えた有能な男である。

J 政治家となつたが、ヤワではない。頭脳は明晰、政治家としても打たれ強い。攻撃力もあるし説得力もある。これだけの議員は少ないのてはないか。中々、政治家としての素質十分である。国家のために積極的に使用すべきである。

K 私の親友は、総理大臣にして良いのではないかとまで言う。あっと私は驚いた。的確な洞察だからである。

L 総選挙以前の自民党は言うに及ばす、民主党とからもこのような学者能力と政治的にも強い資質の議員は少ない。

M 私は、この際、銀行界も不良債権処理も完了し常態に復元したので、過去の竹中に対する攻撃の矛を収めて前向きに日本国のために評価することを宣言する。

平成17915日 徳永圀典